「勇気づけられる作品」チア・アップ! KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
勇気づけられる作品
とても見応えがあり心が温まり勇気づけられる作品となった。
予告でうたってるように主人公のマーサが余生をシニアタウンで過ごすことを決め、最初の出会いは決していい出会いとはいえなかった隣人のシュリルと一緒に過ごす時間が増える事で、かつての夢であるチアリーディングをシニアタウンの仲間たちを集めて活動する話である。
もちろん年齢を考えると中々うまくいかない。実際にメンバーが怪我をしその息子からもクラブの存在を否定される。シニアタウンを率いるボスにもクラブの存在を否定され活動場所がなくなるなど前途多難な活動であった。
しかし一度活動を始めたメンバーの熱は消えず、色々模索しながらなんとか活動を続け最後には大会に出場する事ができた。
この話はもちろんチア活動がメインだがそこが大事なわけではない。
チアは若い者がやるものだ、お年寄りは活動を制限し余生を送る事が彼らにとって健康で幸せな事だ。こういぅた心の奥にある偏見を否定し、可能性の先にある美しさを感じ心に響く作品であった。
マーサも決して当初からやる気満々でシニアタウンに入居したわけではない。
最初はシェリルの存在を否定する事から始まったが彼女を認めた事でチア活動を行えるきっかけとなった。
メンバーの家庭では息子や旦那が活動をすることを否定する家庭もあった。
もちろんそれは各々相手の幸せを思っての事だが、独断偏見で可能性に蓋をする事は不幸である事をこの作品では痛感させられる。
チア活動をする事がなくてもマーサを始めとした仲間達が余生を幸せに過ごせたかもしれない。ただ一つ言えるのは彼女らはチア活動をする事によって彼女らの人生、ストーリーに深みをもたらせた事は事実であろう。
こんな素晴らしい深みを周囲の偏見で逃して人生を終えるのは非常にもったいない事である。
この作品での偏見はいわゆる「年齢」が枷となるわけだが、自分に置き換えても色んな偏見や独断で可能性を断つ事はあると思う。
「どうせ無理」、「やっても無駄」こんなことが歳を重ねる事に増えてくる。もちろんこれは人生あらゆる経験してきたからかそ生まれる判断ではあるが、この作品のように本来の行動目的以外にも一つの行動から派生する素晴らしい可能性はいくらでもある。そういう可能性を大事にそして楽しむ事が人生ではないかとこの作品では思わせてくれた。
大会出場後マーサは永遠の眠りについた。死が間近ですら人生大きく変わる出来事が待っているわけだ。
それらを振り返ると人生は大事にしなくてはならないし何事もチャレンジする事が大切だと思わされる。
きっとマーサが学生時代にチアを断念せざるを得ない状況になったのは、今回のメンバー達とチアができる為の運命だったのかもしれない。