モデル 雅子 を追う旅のレビュー・感想・評価
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美しさの裏の生き様に姿勢を正したくなる
実はご本人とお会いしたことがあるので、訃報を耳にして驚いた記憶がある。ご結婚されていたこともよく存じ上げてはいなかったが、傍らにいらしたご主人が「モデルとしての雅子をほとんど知らないままだった」と、その思いから突き動かされるように撮った作品だ。
彼女がモデルや女優として登場する媒体を丁寧に拾い上げ、ゆかりの人物に話を聞き、舞台となった場所を訪ねる。その都度浮かび上がる、伴侶の知りえなかったプロ意識、志の強い一人の女性の姿が浮かび上がってくる。華やかに見え、とりわけ若さばかりが取り上げられがちな世界で、ただ美しさだけで30年も活躍はできないだろう。年齢を重ねたなりの第一線での活躍は、絶対に彼女の芯の通った生き方ゆえだと、全編通して多いに納得した。
この映画は御主人なりの弔いであり、これからも彼が生きていく区切りとなっただろうと思う。随所にそんな過程が緩やかに表現されていて、観る私たちをもそれにいざなわれる。
私は同じ時代を意外と近しい世界で過ごし、開いた雑誌には必ず彼女がいた。だから彼女の誌面の裏の生き様を知ることは、これから迎える人生の終盤にどう生きていくべきなのかをすごく考えさせられた。そして、少し姿勢を正したくなった。
一人の美しいモデルを「モデル・雅子」として人の記憶に刻み付ける映画、年齢に関係なく女性なら特に観て欲しい。
「モデル雅子」を後世に美しく残す、という監督の思い
雅子さんがモデルや女優として出演した雑誌や映像の、30年間の膨大なアーカイブ集。ファンにはたまらない記録映像となっている。同時に、監督(夫)との日常も垣間見えてほほえましい。
インタビューに出てくる多くの友人・知人も、雅子さんを「追悼する」という悲壮なトーンではなく、雅子さんと一緒に仕事をし時を過ごし、いかに楽しかったか、癒やされたかと、懐かしく楽しそうに回想しているのが印象的。
記録映画・ドキュメンタリーとしても、監督や友人の「私小説」としても、一見の価値アリです。
美しい人
美しい人は生き方も美しい。
“モデル”雅子を追う旅ということで、夫でもある監督の視点は終盤まてでてこないけれども、パリ旅行や闘病中の映像を見ると本当に素敵な関係の夫婦だったんだろうなと感じられた。
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