北の果ての小さな村でのレビュー・感想・評価
全17件を表示
郷に入っては郷に従え。
グリーンランドの中でも僻地に新米教師として赴任する、牧場経営の一人息子の青年。
デンマークの都会の考え方とは正反対の田舎で生き抜く人々との交流から、自分の心念で教師をしようとしたことは通用しないと気づき、生徒の保護者から話を聞きながら徐々に変わっていく。
グリーンランドの厳しい自然と心温まる交流が対照的。
グリーンランド行ってみたい
グリーンランドの壮大な自然環境で生きるイヌイットの人達を理解しようとしたら、主人公は彼らから自然に受け入れられました。授業を大人しく聞くとか学校を休まないとかそれはあくまで自分が正しいと思っているだけ。自分の価値観を押し付けているうちは、恐らく人から受け入れられることはないのだなと思いました。これは、私自身にも日本という国にも言えることです。
今作を鑑賞してグリーンランドに初めて行ってみたいと思いました。。私は寒い所が嫌いなのですが、そんなのも忘れるくらいに、フィルムから氷の神々しさを感じました。イヌイットって、日本人と同じモンゴロイドなんですよね。普段映画をあまり鑑賞しない旅好きの方も楽しめる作品です。
暑い夏に観たかった。
トランプはグリーンランドを買いたかったらしいが、グリーンランドのフレデリクセン首相が「馬鹿げている」と一蹴した。などと、この映画が日本で公開されているときのニュースだ。多分、この映画をトランプが観たら、絶対に買う気は失せるだろう。
人口5万人の島国。かつてはデンマークの植民地だったことから、主人公アンダースも自分の生きがいを見つけるために丁度いいと判断したに違いない。農場を継ぐのが嫌だからと、ニート寸前のアンダースだったのだ。しかし、デンマーク語を教えることですら難しく、住民たちにも嫌われてるんじゃないかと疎外感を味わうのですが、やがて8歳の少年の家を訪問してから徐々に住民の気持ちがわかってくる。
アザラシを食う、一角鯨を獲りたい、シロクマに会いたい。シロクマの毛皮を運ぶシーンもあったし、撃ち殺したという話もあった。地球温暖化のために生息地域が狭められ、絶滅危惧種にも指定されたシロクマ。白クマ黒クマ白クマクマである。
そうしてイヌイットの狩猟に参加したアンダース。極寒の地の厳しさを学び、ようやく心が通い合った一瞬でもあった。犬ぞりの犬も大変だし、吹雪の中の撮影だって大変だ。もしかしたら、ドキュメンタリー映画だったの?とも感じるのですが、ちゃんと脚本はあるようだし、大自然を生かした心地よいドラマなのでした・・・
住み着いた男は宗主国政府派遣
グリーンランドは欧州より、むしろ北米大陸に近い。メルカトル図法の地図では分かりにくいけど、地球儀でみれば、カナダと北極の間に横たわる縦長の島の姿が確認出来ます。
よって原住民の生活はイヌイットだし、デンマークへの帰属意識なんか、これっぽっちも無くても不思議じゃない。アサーの祖母の態度に象徴されるのは、民族の生活文化は変えないと言う、イヌイットの誇り。
アンダースは派遣前に釘を刺されます。グリーンランド語など覚えなくて良い。
物語は「デンマーク政府から派遣された」青年が、イヌイットの村に土着化するまでのお話。特に盛り上がりも大事件も無く、淡々と進みます。それが良い。日本人の感覚では、島と言うには大きすぎるグリーンランドの風景の美しさに癒されて。
で、なんでフランス映画なんだろ。撮影隊がグリーンランドに行ってみたかっただけとか?
自然の中で生きていくコト
厳しい厳しい自然の中で、何世代も命をつないでいく。余分な欲は持たず自然と共生することを大切にする。自然の脅威の前に身に危険を晒しながら獲物を追い求め、ついに見つけた獲物(シロクマ)が、子育て中の親子連れであることがわかると獲物を獲らない決断。まさに持続可能性のための自然との共生。
欲しいものはなんとしても得たいという、いらぬ欲望に満ち溢れている世界とは違う生き方。学びたい。
ドキュメンタリー
グリーンランドの厳しい環境、美しい大自然の中で、デンマークからやってきた若者が悩んで自分の居場所を見つけるお話。
実話で本人が演じているというからびっくり。
余計な音楽もなく、シンプルな映画で余韻が穏やか。
本人か
監督のサミュエル・コラルデさんは、docfictionが得意分野ということでなるほど。
EARTHとかナショジオとか好きな人でも喜びそうな映画ですが、そこで生きているイヌイットの人たちもいいので、デンマーク人教師を投入して物語にしたのかと思ったら、アンダース・ビーデゴーさんは本当にグリーンランドにきたデンマーク人教師さんなんですね。ちなみに人口80人の村で小学生くらいの子供が10人くらいいて、けっこう子供率が高い気がしました。(街にいってるかもしれない中学生上が帰ってきたらなんですけど、それはまた別の話ですね。)
アンダースさんが村の人に馴染んでいくのに、本人の心情とか別撮りで心の成長のセリフ読んだりとかしてなくて、それがむしろドキュメンタリーっぽくて面白いです。撮影隊がちょっと久しぶりに戻ったら、前には見られなかった行動ですが、仲良くなって交流している家族いました、みたいな。
イヌイットのあれこれがいちいち興味ぶかいので、ここをロケ地に映画を撮りたいと思った監督の気持ちがわかります。
この映画の世界は、10年後には消滅しているかも。
登場人物は、すべてグリーンランドで暮らす実在のイヌイットで、そのリアルな演技?は、まるでドキュメンタリーを観ている感覚。
白い雪原を犬ぞりが切り拓いていく様子などは、まさに目をみはる光景だ。
しかし、このような北極圏の自然と人々の暮らしは、10年後には、もう見られないかもしれない。
この夏、地球温暖化の影響で、グリーンランドの氷河が何億トンという規模で、融解し始めているとのニュースを見た。
この映画が抱えている未来性に、気づいてしまった。
来週、友人を誘って、もう一度、観に行きたい。
システム化が必要な農耕、シンプルな狩猟
先日観た『風をつかまえた少年』の舞台はアフリカのマラウイという国で、植民地時代の宗主国はイギリス。だから英語で知識を学び、簡易ながら風力発電のシステムを作れたし、今後も生きていくのに(安定した収穫のシステムの確立…穀物の収穫・保管・物流・販売・設備投資と発展していくこと)英語は必要だと思う。
グリーンランドも植民地だったことがあり、当時の宗主国はデンマーク。だからデンマーク語の教師が出てくる。
だけど、グリーンランドのイヌイットの生活ではデンマーク語がなくてもあまり困らなそうだった。
たぶん最小限の暖房装置や電気系統設備の取り寄せやら電話注文のためには必要だけれど、犬ゾリで狩りをするのには必要ないし、これからも生きていける。
つまり、この80人の村にはグローバル化で恩恵を受ける、みたいなことはほとんど想像できないし、この村のおとなの責務が「生きていくのに必要なことを伝承することだけ」だとしても充分だと思う。それを鹿爪らしい哲学や思想や理論に置き換えることにもさして意味はない。
『デンマーク人は難しく考えるんだな』
とイヌイットの人が言ってましたが、極寒の地で生きていくのに必要なのはシンプルにやるべきことをやるだけで、生き甲斐とか使命感みたいな概念は無用なのですね、きっと。
世の中のことを難しく考えて深刻に悩んだ時には、極寒の地でなくても、シンプルに生きていくためにやるべきことをやるだけでいい場所がきっとあるはず、とこの映画を思い出すといいですね。
哲学的な佳作
グリーンランドが世界最大の面積の島でデンマーク領であることは世界地図の(デ)のマークで知っていたが、ツンドラの寒い島は想像するだけでつらそうで、行きたいなどとは露ほども思ったことがない。
しかし本作品を観てオーロラや山脈、氷原のシロクマ、フィヨルドの海岸近くに姿を見せる鯨などの光景や、冷えて澄んだ空気、自然との直接的な関わり合いなどを想像すると、一度くらいは行ってみてもいいかなという気になる。
舞台はイヌイットが住んでいる人口80人の小さな村だが、本作品を観る限り、封建的でも偏狭でもなさそうで、いわゆるムラ社会とは一線を画している。移住者に地域のルールを押し付けたり、行事への参加を強制したりすることはないのだ。
ただ、移住者が地元の生活や文化を受け入れようとしない限り、受け入れられることはない。デンマークの役人のおばちゃんはグリーンランド語なんか覚える必要はないと征服者の居丈高な目線で語り、自分はそれで上手くいったと一元論を展開するが、地元民と触れ合い、地域に受け入れてもらいたい主人公は、それが間違った考えだということにすぐに気がつく。グリーンランド語を学ぶようになると、地元民はたちまち心を開いてくれる。それから後は教師として子供たちを教えるより、教わることのほうが断然多くなる。それで報酬をもらって生きていけるのであれば、これほど幸運なことはない。
グリーンランドの生活は質素でストイックで都会的な利便性はまったくないが、見栄を張ることも嘘をつくこともない。ムカつく人間に頭を下げることもない。観念的な苦痛や不安や恐怖とは無縁の生活である。見て聞いて感じたものがすべてなのだ。美しい思い出は誰にも汚されることなく、美しいままだ。多分都会人はこの生活に耐えきれないだろう。しかし習うより慣れろという諺もある。一年間でも暮してみたら、逆に都会の生活に戻れなくなるかもしれない。どっちが人間らしい、幸せな生活なのだろうか。
デンマーク語とグリーンランド語のみ使われる作品だが、「Une annee polaire」というタイトルのフランス映画である。訳すのは難しいが「北極の一年」みたいな感じだろうか。フランス映画らしく、実存としての人間にとって環境は如何にあるべきなのかと問いかける哲学的な佳作である。
都会で暮らすってめんどくさいんだなー、と。
必要なこと、やりたいことを最優先に生きるのがベストなんだな、と考えさせられた。やること悩むことが多くなると人生どんどんややこしくなると。
グリーンランドの景色見るだけでもこの作品観る価値あり。壮大。
涼やかで、穏やかな気持ちになれるドキュメンタリータッチの美しい映画
デンマークから赴任した新人教師が、言語・文化の壁を乗り換え、グリーンランドの村人達と合流を深めて行く過程をグリーンランドの美しい風景を背景に豊かに描き出す。
グリーンランドがデンマークの旧植民地だったのは知らなかったなぁ。
微妙に、“本国”の“植民地”に対する意識を見た気がする
グリーンランドの片田舎の村の“学校”に赴任した教師が、村人との交流をしながら成長していく姿を描いた物語。
連日の猛暑なので、少し涼もうと思って見に行って見ました(笑)
デンマークの政策?として、グリーンランドに赴任する教師は、現地のグリーンランド語は覚えずに、デンマーク語を教えることを求められるんですね。なんとも、“前近代的な植民地政策”と思ったのは私だけ?そもそも、グリーンランドって、高度な自治権を認められていると思ったんですけどね??
まぁ、ぶっちゃけ、主人公の教師は“自分探し”の場所として、グリーンランドを選んだっぽい感じですね。そんな自分を探しに来たような奴に来られたら、現地の人は困りますね。案の定、当初は、現地の人には受け入れられない状況です。でも、現地の言葉を覚え、現地の事情を学ぶにつれて、現地の人にも受け入れられ始めます。
でも、そう言う事って、世界共通なんですね。日本でも、都会から地方に行った人がなかなか受け入れられず、現地の事情を理解し、受け入れると、現地の人にも受け入れられ始めると言う事がありますよね。
この作品は、デンマークから新人教師が赴任するという話を聞いて、それを映画にしようとしたようなのですが、登場しているのは、すべて実際の人と言う事です。まぁ、グリーンランドの人はそうかと思いましたが、教師を“演じた”のも、その張本人の人だったようです。それには、ちょっとビックリ。“教師役”は、役者かと思ったんですが、素人だったんですね。
デンマーク語とグリーンランド語での映画なので、デンマーク映画かと思っていたんですが、フランス映画だったんですね。ちょっと驚きです。
先生がんばる
これ映画のストーリーとしては、どうなのかなあ?って感じ。
後半はほぼドキュメンタリーな感じ。
淡々としてるのでちょっと眠気に襲われました。
でも、グリーンランドの自然をいっぱい堪能できました。
もともと先生経験がなかった新米先生が、徐々に成長していくという物語はありきたりではあるけど。
「彼らには“学校”なんて必要ないのさ」
様々な障害に抗って苦闘する熱血教師の物語、という観る前の見当は外れた。犬ぞり、アザラシ、オーロラ、そしてシロクマ・・・。「こんな所に来て何を期待していたんだ」と批判され、デンマークの流儀は捨てて、この僻地の自然と文化、そして言語空間と一体化し、飲み込まれることで、「先生」となっていく男の物語(実話)だ。
原題は「極地の1年」といった感じか。映画の後半は、グリーンランドの自然の撮影の方が主題かと思うほどで、大きなスクリーンで、より楽しめるはず。ゆったりと心地良い気分で、映画館を去ることができた。かき氷のように、暑い季節にお勧めの映画かも。
生きる
デンマークで7代続く農家の一人息子がグリーンランドでデンマーク語を教える教師として応募し、人口80人の村に赴任する話。
候補地は首都、人口2000人の町、人口80人の村とある中で、最も小さく現在も狩猟を主な生業としている先住民族の村を選ぶ主人公。
進学するには村の外に出なければならないが、出たことのない年配の村民と当然外の世界を知らない子供達の将来の夢等、文化の違いにぶつかりながら、興味を示し、理解し、打ち解けていく流れで、ストーリーそのものや語られることに物珍しさはないけれど面白かった。
ただ、紀行番組をみている様なつくりで映画のストーリーというより、ドキュメンタリー的な要素に惹かれたところが大きく、ドラマとしての面白さはぼちぼちかな。
全17件を表示