「あとでゆっくり効くんです 毛生え薬のように」星屑の町 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
あとでゆっくり効くんです 毛生え薬のように
【のんちゃん、おがえり】
本名なのに「能年玲奈」つがえなぐなって、おらもくやしがったなぁ。
んでも、もうすんぱいいらね。
こったらむすめっご、どこにもいねえよ。
おらがず~っと応援すっがら。
【長らくお待たせいたしました】
ムード歌謡コーラスの火を消してはならない。
25年間、劇場で熟成いたしました「星屑の町」
今宵、愛ちゃん(能年玲奈)を迎えまして、
満を持しての銀幕での開演でございます。
【山田修とハローナイツ】
小宮君をリーダーとする山田修とハローナイツは
ただのムード歌謡コーラスグループではなかった。
何でも自前でできる。西やんはお裁縫も抜歯もやる。
歌の前口上(宮尾すすむ、綾小路きみまろが営業でやってたやつ)はリーダーがやる。
曲のあいまのトークは大平サブロー、ラサール石井の漫才で歌よりむしろ盛り上がる。
メガネはかけていないが、さりげなく、横山やすし師匠の「怒るで~しかし」や
寛平ちゃんの「かい~の」も挟む。
ラサール石井はコント赤信号の中で唯一関西人。二人の掛け合いの安定感は抜群。
歌謡漫談ショーの要素をコーラスグループに乗っけちゃうんです。
和田弘とマヒナスターズ、秋庭豊とアローナイツ、黒沢明とロス・プリモスの流れではなく、
灘康司とモダンカンカン、東京ボーイズのながれなんです。
中之島ブルースなんか、つい、菅六郎と仲八郎の掛け合いを思い出してしまいました。
🎵天気が良ければ晴れだろう 天気が悪けりゃ雨だろう
雨が降ろうが、風が吹こうが
東京ボーイズ
🎵ほがらかに~
あらら、完全に脱線しました🙏東京ボーイズファンなもので🙏
【ハローナイツ メンバー紹介】
山田修(小宮君;親愛を込めて):東京のレコード会社を辞め、ハローナイツを結成する。地元は岩手県久慈。実の弟は山田英二(菅原大吉)。独身。今はカラオケ教室が副業(主業)。生徒のアラフォー女性との結婚を夢見る。
市原一樹(ラサール石井):東京でデブ専パブを経営している。西やん(でんでん)は上京するたびに店に寄る常連らしい。根っからの軽薄男。歌手志望の愛ちゃんにハローナイツに入らないかと酔いに任せて言ってしまう。
青木五郎(有薗芳記):のっけからむし歯が痛み、歯医者まで車で一時間以上の田舎にいら立つ。かなりの毒舌。しかし、メインボーカルのしんちゃん(太平サブロー)をすごく評価している。
込山晃(渡辺哲):小宮山かと思ったら、込山。リーダーが小宮くんだから、紛らわしいよ。メンバーのなかでは重鎮で、言動に説得力がある。話を膨らませてじわじわ相手をその気にさせる話術の持ち主。痔持ちでボラギノールとクッション座布団が手放せない。このひとのセリフは沁みて来て、やばい。青木(有薗)の前振りで、こんな芸能生活を長くしていると「歯がいたくても、歯医者にも行けない」には吹きました。
西一夫(でんでん):妻と4人の子供がありながら、ハローナイツに参加。自衛隊あがり。虫歯の青木五郎(有薗芳記)とは性格上あわない。ナローナイツの存続に内緒でリーダーの小宮君に300万円を貸すお人好し。
天野真吾(しんちゃん;大平サブロー):大阪のミナミでうだつがあがらなかったが、修に拾われ、メインボーカルに。さようならの彼方にがすごくよかった。60過ぎているのにけっこう声ののびがよかった。
アタシは実は「でんでん」見たさにこの映画にかなり前からロックオンしたのでした。
【キティ岩城】
この映画にキティ岩城こと戸田恵子がどさ廻りのソロシンガーとして加わります。戸田恵子は女優でありながら、実は歌手としてデビューしている過去があり、2007年に歌手として再デビューしている実力派。戸田恵子、すごくうまくて、かっこいい。男たちがもめている間に挟まれるステージシーンはこの映画の構成上とても重要です。由紀さおりの「手紙」。本人より色気がありました。由紀さんごめんね。愛の暮らしも良かった。のんちゃんが楽屋の手伝いで来た時のやり取りで、戸田がソングパートナーというのに、「ハローナイツの前座か?」とのんちゃんがずけずけ言って、「感じ悪い子!」と返すセリフにまず吹きました。のんちゃんのものおじしない性格は「あまちゃん」を思い出して、なつかしかった。
ラサール石井が公演前日に愛の母親(相築あきこ)がやってるスナックで飲んで、愛ちゃんに歌手デビューさせてあげると軽口をたたいてしまいます。
まぁ、これがこの映画のストーリーのとっかかりです。
一度は東京に出て行って、歌手デビューに挫折した愛ちゃん。家族、啓太、英二は知っています。でも、ハローナイツのメンバーは知らない。
愛ちゃんには父親がいない。父親捜しのための歌手志望もあり?
有名になったら、父親が名乗りでてくれるかも。
大平サブロー(真吾)がお父さんかもと、母のスナックで手伝ううちに、常連客に吹き込まれる。
母親役の相築あきこ(久間部浩美)とのやり取りで、
「なんでお父さんの写真がうちには1枚もないの?」
「引っ越しの時になくなってしまったのよ。マグロ漁船の乗り組み員で」
「インド洋で海に落ちて死んだんでしょ」
「そうよ」
「嘘くさ!」
キティ岩城が愛&ハローナイツで売れてきた愛に訊く。 理想の彼氏は?
「おっとうにしとくかな。あったこどないけど」
「もうこの世にいないんじゃないの。生きてたら、絶対会いに来るよ」とキティは言う。
残酷な気もしたけど。
【愛の採用試験】
愛は啓太にハローナイツじゃないとだめなんだという。 頑固。
大平サブローが父親でないかと言った、スナックの客の言葉を信じている感じ。
控え室の音楽室のフォークギターの弾き語りで藤圭子の新宿の女を歌います。
出だしはすごくよかった。ギターもまずまず。
そして、愛の採用をめぐってメンバーのもめごとがおこります。
愛ちゃんの芸能界志望をあきらめさせようとする渡辺哲の嘘くさい長ゼリフが妙に刺さります。
「デビューして7年、8年経つと、怠け癖が染みついて、酒浸り、ギャンブルで、歯が痛くても歯医者にも行けない」
【久間部六蔵】
愛がハローナイツのメンバーになって、地元を出て行ってしまい、
息子の啓太とうまくいかなくなってしまうことを案じた英二(菅原大吉)は愛の祖父
六蔵が殺人をものともしない強面であることを怪談ばなし風に話す。
愛を芸能界に誘うことは、ひとさらいも同じこと。どんなむごい殺されかたをするかと。
メンバー全員が震え上がる。昔の映画のような殺陣シーンがうつされる。
泉谷しげるかなと思ったら、柄本明だった。実は3年前に死んでいたのだが、生きていると
嘘ついていた。
泉谷の方がコメディとしては面白かったんじゃないかな?
しかも生きている設定で。
【男たちの本音】
この映画の真髄(見どころ)は本番の出番直前のメンバーの男たちの本音のぶつかりあいです。
メインボーカルのソロ離脱をめぐって、本番中にもかかわらず、大げんかになります。
リーダーはついに解散を言い出します。
でんでんが青木の虫歯をまるで必殺仕置き人のようにズバッと抜きます。
あー、すっきり。
大平サブローはこんな気持ちで、うたえないと、出ていこうとすると、
込山が力ずくで止めます。
俺たちは素人だけど、あんたはプロだろ。
プロが仕事投げ出すのかと。
効果的な雷鳴と土砂降りの雨。
【エンディング】
最後に愛が啓太(小日向星一:小日向文世の子供)に言う。
「もうわたし、後ろは振り向かない」
能年玲奈の覚悟とダブる。
ハローナイツの唯一のオリジナル曲 I MISS YOU。
窓ガラス曇るほどに愛をかさねあったのに
あなたのいない夜がこんなにつらいなんて
思い出は幸せの抜け殻さ、もう一度やり直したい
I MISS YOU
愛(のん)はハローナイツを抜け、前にすすむ。
ハローナイツはキティ&ハローナイツで汽車でどさ廻りを続ける。
そこへ、サブローが乗り合わせる。
ソロはつまらんやろ。
そうゆうこっちゃ。
親同士(英二と浩美)が再婚したら、愛と啓太は子供同士で、結婚できない。
でもハッピーだね。
【4月4日追記】
恋の季節は小学校低学年のときに、ホームルームみたいな時間に担任からなんかやりなさいとむちゃぶりされて、ひとりで歌った記憶があります。担任にはバカ受けでした。シルクハットはありませんでしたが、あるつもりで振り付けもやりました。
学園祭でコント赤信号を呼んで、体育館でライブをやってもらいました。小宮君とは控え室でがっちり握手しました。この映画のキャストは小宮君率いる演劇人の舞台の映画化で、卒業アルバムみたいなものであると認識しております。コロナ禍は本当についてない。NOBUさんのようにカラダを張って観賞してくれる人に小宮君になりかわりまして御礼申し上げます!
Bacchusさんからもコメントいただきましたが、愛がハローナイツを抜けたのは、愛の気持ちを汲んだキティ岩城が自分から小宮君に、「アタシがハローナイツに入るから、将来性のある愛はもっと若いグループに行かせてあげてよ」と、裏で手を回したんですよ。そうじゃないとキティと愛がライブハウスの非常階段でのふたりだけの場面が死んでしまうのです。キティが愛のお父さんはもうこの世にはいないよとキッパリいうセリフが生きて来ないのですよ。本当の父親探しを諦めて、あんたは若いんだから、もっと将来性のある道を行きなさいと自分を犠牲にしてくれたんだと思いました。本当はキティもどうせどさ回りするんなら、気の合うおっさんと旅をしたいんですよ。大人の女のカッコ良さに惚れ惚れしました。泣ける。泣ける。
“歌うレビュアー”カール3密さんこんにちは。
当レビュー、まるで愉快なステージ口上!堪能させてもらいました。ピン芸人の域に到達しておられますよ。
・・で、満足してしまったので映画は見ないと思われます、スミマセン(笑)
コロナビールは販売停止。そしてNOBU さん御用達のコロナ劇場も風評被害。
たいへんな時代ですが、ますます映画好きの我々としては元気に夢の世界に羽ばたきたいものですネ♪
(訪ねた携帯ショップが2日後にコロナ閉鎖で、オロオロ状態のきりんより)
今晩は。
度々すいません。
”愛がハローナイツを抜けたのは、愛の気持ちを汲んだキティ岩城が自分から小宮君に、「アタシがハローナイツに入るから、将来性のある愛はもっと若いグループに行かせてあげてよ」と、裏で手を回したんですよ。そうじゃないとキティと愛がライブハウスの非常階段でのふたりだけの場面が死んでしまうのです。キティが愛のお父さんはもうこの世にはいないよとキッパリいうセリフが生きて来ないのですよ。”
成程、腑に落ちました。キチンと観なければいけませんね。
有難うございました。
今晩は。
私より、余程思い入れがあるのですね・・。
良く分かりました。
一点だけ、
”カラダを張って観賞してくれる人”と記載していただきましたが、当方の居住区では外出自粛の行政指示は出ていません。(田舎ですから・・)
只、個人的に公共交通機関の使用、居住区にある大都市の映画館には”行きたいですが”自粛しています。
勿論、行政から外出規制が出た場合は従います。
映画レビューとは関係ないことを色々書いて申し訳ありませんが先日間接的に”叱られたので”、言い訳がましく書きました。
いつか、映画に関して色々お話したいですね。
けれども、コメントを頂いて嬉しかったです。
明日は当家から車で10分のところにある、今回のビールス(ウイルス)の名前が劇場名に入っているため”甚だ迷惑している劇場”に名作を鑑賞しに行く予定です。(今日も行っていましたが・・)
明日も、200席なのに”いつものメンバー”4名で鑑賞なのかなあ・・。
長くなりました。
では又。
それはのんちゃんがマドンナ役だからですよ〜これはハローナイツでシリーズ化しないといけないと思います^ ^まあメンバーの皆さんの年齢を考えたらなるべく早くね〜
完全に乗り換えですからねーしかも勢いがある方にw
実際の話なら何とも思わないですけど、一応ハートウォーミング系の映画なので、作品として「えっ!?」という感じがしてしまいました。
まあ、それだけ作品にハマったということでww