「美しく力強いラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番」の演奏で強調される天才ピアニスト誕生の物語」パリに見出されたピアニスト Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
美しく力強いラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番」の演奏で強調される天才ピアニスト誕生の物語
ルドビク・バーナード 監督による2018年製作(106分)のフランス・ベルギー合作映画。
原題:Au bout des doigts、配給:東京テアトル。
貧乏な母子家庭の不良少年がピアニストとして天才的才能があり、ストリートピアノ演奏でパリ国立高等音楽院のディレクターに見出されるという言わばシンデレラ的なストーリーは、夢があって悪く無いと思った。白人主人公(ジュール・ベンシェトリ)が恋する乙女が黒人音楽院生(カリジャ・トゥーレ)というのも、現代フランス的で良い。
ただ、コンテストまで観客が見せられるピアノ練習量の乏しさや、腱鞘炎がどう克服されたのか不明等、ストーリーの細かい設定はかなり雑な印象。とは言え、登場してくる曲はなんとも美しい。
バッハ「平均律クラヴィーア曲集第1巻第2番 ハ短調 」、ショパン「ワルツ 第3番 イ短調」、ショスタコーヴィチ「ピアノ協奏曲 第2番 へ長調 」、リスト「ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調」。そしてコンクール曲のラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調」。演奏しているピアニストは誰なのか?
そして、映像も素敵、特に主人公の想いを表出させた黒く光るSTEINWAYのピアノの美しさが素晴らしかった。
監督ルドビク・バーナード、脚本ルドビク・バーナード、 ジョアン・ベルナール。音楽はパリ生まれの若きピアニスト・作曲家・プロデューサーであるアリー・アローシュ。
撮影トマス・ハードマイアー、編集ロマン・リウー。
出演
ランベール・ウィルソン(ピエール・ゲイトナー)、クリスティン・スコット・トーマス(エリザベス)、ジュール・ベンシェトリ(マチュー・マリンスキー)、カリジャ・トゥーレ。