劇場公開日 2020年2月28日

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「胸がぎゅっとなった」初恋 まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0胸がぎゅっとなった

2020年2月29日
iPhoneアプリから投稿

滅茶苦茶面白かった…!!!!!
面白いし、とても良い話だし、アクションがカッコいいし、キャラクターが一人一人いいし、こんなに良いことづくめな作品だったの?と驚愕しちゃいました。
余命宣告を受けた天才ボクサーがある女の子と出会ったのがきっかけでヤクザと悪徳刑事たちの抗争に巻き込まれていってしまう話。何となく内容が想像できるなと思ったし、タイトル的に窪田正孝演じる主人公のボクサーとヒロインの小西桜子の恋愛的要素のあるシーンもちょいちょい出てきつつ、基本はヤクザのドンパチものだろうと想像して、私の好きなストーリーな感じがしたので観に行った…。けど、予想していた展開をことごとく面白おかしく裏切っていく染谷将太と大森南朋、昔気質の刑務所上がりの時代遅れなヤクザ内野聖陽、恋人の仇の鬼になるベッキーなどなど…どの登場人物も自分の欲望や守りたいものに対してある意味真っ直ぐに行動していく人達のおかげで作品にのめり込んで観てしまったし、とにかく面白い予想外な展開だらけで最高だった。ヤクザの話って、その世界のルールや何故抗争が起こってるのか?が分かりにくくて今何に対して怒っていてどことどこが何の理由で対立しているの??と話の展開が頭の中で整理出来ずに話がどんどん進んでしまうことが多いけれど、この作品はテンポがめちゃめちゃ良いくせに凄く分かりやすいところもポイント。何が目的なのか?何に怒っているのか?結果どうしたいのか?が分かりやすいから話自体に感情移入出来るというかワクワクしながら先へ先へともっと観たくなってしまう。本当に良い意味で裏切られ続けながら見入ってしまう。ヤクザの抗争に巻き込まれていく主人公レオとたまたま出会う女の子モニカの、この2人がまた…とても良い。関係性と距離感、空気感。なんだろう、青春ものでも恋愛系でも人間ドラマでも無く、変な下心で動く展開も無く…本当に色んなたまたまが重なってしまって動いていく2人の行方が何か…言葉に出来ないんだけどとても良い。ある種ネタバレだけど、思ってたのと違う点が、2人ともがお互いを異性として意識し合うシーンや動きが無いんです。こんなカッコいい人とこんな可愛い人が出会ってもそういうシーンが無い作品なんてなかなか無いでしょう。なのに、なのに観客的にはお互いが何となく惹かれているように見えてしまって、キスも触れ合いも壁ドンも何も無いのに心がきゅんとしてしまう…から凄〜と思いました。(私はボクサーが好きなのでその要素もあいまっているのかもしれませんが)。
そしてこの2人が出会えた事が奇跡だし、この奇跡が起こった事が凄く幸せな出来事だったんだと映画が終わった後ジワジワと感じました。
女の子はある重い事情や状態をなかなか多く抱えてて、親の顔を知らない捨て子だった男はボクサーとして今は生きてるけど、特に他に生き甲斐も無く淡々と生きてるだけの生活だったがいきなり医師に余命宣告を受けてしまう。その2人が出会い、この抗争によって人生が変わっていく…。パンフレットにも同じような事が書いてあったけど、「男女間の恋愛」を描く為だけの映画じゃなくて、変わっていく人生やそれぞれの人間に起こる心の変化や愛、全てをひっくるめた上での「初恋」というタイトルとテーマだったんだと観終わった後気付かされます。これだけエンターテイメント性やアクション性、裏社会を思いっきり爆発させているけれど、1人の主人公の心の変化が大きなテーマとなっているところも、本当に心に染みる良作となるひとつの要因だと思いました。
滝藤賢一やベンガルなどの脇役もすっごい良かった、笑ったなぁ。思い出すだけで笑顔になるエピソードも多々あり。キャストが皆んなその人間にちゃんとなりきっていて、最悪だけど最高の1日を描いていました。染谷将太、大森南朋、人間らしい感じが多々出ててこの人達も沢山笑いました。人間っていうのは結局こうなるし、人生っていうのはそう上手く転がっていかないものなんだよなと。でもそれがまた良いんだと感じました。
心に残る作品を観れて大満足です。面白くて素敵な映画が観たい人は是非、おすすめです。

まつこ