劇場公開日 2019年7月27日

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「猫がいないのよ。」隣の影 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5猫がいないのよ。

2019年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

事件は、集合住宅という小さなコミュニティで起きた。駆り立てるような効果音がなくても、美しい旋律でさえも不穏な空気を醸す効果は抜群だ。影は、木陰のことだけでなく、長男の自殺や夫婦の不和や不妊治療などのストレスからくる心理的な影。落ち着こうとする理性は誰もが持ち合わせている。他人にはささいな問題が、当人にとっては我慢できない問題であることの不条理。例えば、庭の木が諍いの発端となった両家の家の立地が、左右逆だったら、この騒動は起きなかっただろう。

これは身近な話だが。
ある中学生が生活指導の一環で髪形を注意された。注意した先生の髪形ソフトモヒカンで、あれも校則で違反だと憤慨する中学生。それを聞いた父親は「説得力ないよな」と同調し、母親は「いいじゃない、先生は大人なんだから」と反論していた。家族でさえこの意見の相違。他人である隣人であれば、意見が異なるのは当然なのだ。まずそこから納得しておかなければ衝突は避けられないだろうなあ。

結局、そこまでいくか??の展開に発展し、一番最後のショットでスクリーンに映し出されたものを見せられた時、背筋がぞっとした。

栗太郎