「【守ったもの】」キーパー ある兵士の奇跡 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【守ったもの】
作品は、主にバートがイギリスでプレーした前半生の物語で、戦争のトラウマを抱えながらも、活躍する姿は、切なくも痛快だ。
バートが守ったものはゴールだけだろうか。
「前に進まないで止まっていては、朽ち果ててしまう」
ゴールキーパーは、ゴールポストの前に止まり、得点を防ぐのが役割だ。
だが、いくら守っても、チームが得点しないことにはゲームには勝てないし、自分が失点しても、チームがそれ以上に得点すれば勝つことができる。
独りよがりで出来るようなものではないのだ。
そして、サッカーには相手も必要だ。
戦う相手から学ぶことも多いに違いない。
元軍曹からも殴り合いのなかで教えられることがあったはずだ。
バートは、生涯を通して、前に進む意思と、こうした行動の規範も守り通したのではないのか。
彼の輝かしい成績や評価、後の世界のサッカーの普及に努めた姿勢などは、それを表している。
英独のサッカー界への貢献や、サッカーを世界に普及させようと努めたことは、ある意味、不戦の誓いのようにも感じられる。
ただ、皮肉なことに、バートは、マーガレットとは10年あまりの結婚生活の後、離婚し、その後も、もう一度、離婚している。
人生が順風満帆でないのは、誰もが同じだ。
だからこそ、止まらず、前進し、より良くあろうとする意思が必要なのだ。
前に進まないで、止まっていては、ここで朽ち果てるしかないのだから。
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