「必死に生きる姿は人の心を動かす」キーパー ある兵士の奇跡 KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
必死に生きる姿は人の心を動かす
非常に心温まるそして勇気をもらえる作品であった。
前半は主に戦争捕虜として生きるバードが描かれる。そして後半はマンシティのキーパーとしてイギリスで活躍するバードの姿が描かれている。
戦争を題材とした作品のため当初は重い内容なのかなと思ったが比較的優しい作品のため子供が見ても理解できるのではないか。
その為少し淡白に感じる場面も時折あるようにも感じた。
スポーツ作品が自分にとっては後半のマンシティで活躍するバードの姿は非常に興奮させられた。
戦争捕虜の過去やドイツ人という事もあって当初は批判の的となった。この辺りが良くも悪くもすごくマイルドにこの作品では描かれていたが、現実はもっと過酷な批判下の中でのプレーだったと思われる。
そんな中でも信じて共にプレーする仲間、監督、チームスタッフ。そして何より愛する妻マーガレットとその家族の存在があってこそ乗り越えられた事であろう。
そんな批判も黙々とプレーをし同時に最高の結果を残し続ける事で観衆を最後は味方にするわけだ。
これこそ真なるスポーツマンの姿でありとても興奮したシーンであった。
その後も長男を事故で失うなど困難が続いたバードとマーガレット。
それでも互いを信じ、そして許し合う事で前を進みづけた。
この許し合う事はバード夫婦に限らず、最初にバードを受け入れたマーガレットの父、そしてバードの必死なプレーを見守り続けた観衆もそうだろう。この許し合う姿もまたこの作品ではとても自然にそして美しく描かれている。
人は誰しもが過ちを犯す。もちろん過ちを犯したものは反省はしなくてはいけない。同時に周囲もまたその姿を見て時には許し、受け入れ共に生きていくことの大切さをこの作品では感じさせてくれる。
重ねていうが人は過ちを犯すものだ。そして同時に反省しなくてはいけない。ではその後はどうするのか。ひたすら前を向き今できる自分の力を精一杯発揮して一生懸命に生きる事ではないか。必死な姿、一生懸命に生きる姿は人の心を動かす。そんな事を改めて感じさせてくれる作品であった。