「色鮮やかな白」ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 永遠と自動手記人形 yusuke0218さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0色鮮やかな白

2019年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この作品は、TVアニメシリーズとして製作された「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の外伝、という位置付けになっています。映画としては、単体で鑑賞しても差し支えありませんが、できればTVシリーズを全て鑑賞したうえで観ていただきたい作品です。
とくに、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(代筆業をしているヒロインです)に関して、特別な説明がありません。この映画では、ある姉妹を中心にして物語が進んでいきますので、ヴァイオレット自身の過去や経歴については最小限のことしか分かりません。彼女の物語を知っている方に向けて、「外伝」として語られる作品であることをあらかじめご承知おきください。

本編では、とくに派手なバトルやアクションシーンはありません。魔法も超科学兵器も出てきません。我々の世界とは異なる世界の物語ですが、極めて近似の世界として設定されています。

この映画は、とても静謐な作品です。そして驚くほどに豊穣です。
驚かされるのは、前半パートのクライマックスの、舞踏会シーンです。
参加者のご令嬢たちは、皆が白のドレスを装い、白いブーケ、白のコサージュを身に着けて踊ります。
その白の、なんと色鮮やかで豊かなことか。アニメの歴史に残る名シーンと言って過言ではありません。ぜひ劇場の大画面でお確かめください。

ストーリーは、良家の子女のみが通うことを許される全寮制の女学校で暮らすイザベラのもとに、「教育係」として雇われたヴァイオレット・エヴァーガーデンがやってくるところから始まります。
イザベラはある事情があって、未来への夢や希望を失っています。
このシリーズでは、「手紙」がとても重要な小道具として使われています。
この映画でも、やはり「手紙」が大きな役割を果たします。
それがどのように描かれるのかは、ぜひご自身でご覧になってください。
京都アニメーションという会社が、何を創りたかったのか。
その答えのひとつが、この作品にはあります。

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yusuke0218