燃ゆる女の肖像のレビュー・感想・評価
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油絵
スルメのような作品とでも言うのだろうか?噛めば噛む程味が出る的な。
ただ、キャラクターの内面に寄り添うような構成なのかカットが長い…と言うか深い。なのでその辺に惹きつけられなければ「緩やか」だとの印象が拭えない。
俺は若干、寝た。
なかなかに手厳しい話なのだ。
女性が自らの意思で生き方を選べなかった時代の話で…そこに同性愛の話も乗っかってくる。
結ばれる未来などないのだ。
別離しかない恋情なのだ。
けれども惹かれ合う気持ちは止められない。相手に惹かれれば惹かれる程、悲劇の度合が増すのだ。
それを最後の最後まで秘めていたのは、その刹那を濁したくないとの想いからなのだろうか?
ラストの交わらない視線…アレは偶然の産物なのだろうか?機会は偶然だったとしても「被写体に戻る」って意思が痛烈に伝わってくる絵だった。
鑑賞途中に思うのは「色彩」だった。
衣装やメークは世界観なので当時が反映されてて当たり前なのだけど、動く油絵を目指したと言わんばかりの質感だった。
それに伴い表現されるものは勿論あって…色々と小難しい事を考える。
美術品以外の側面から見た時の油絵とでも言うのだろうか…固定とか、非干渉とか、普遍の価値観とか、色褪せないとか。ノスタルジーな事だけではないのだろうなと思う。そして登場人物達が絶妙に18世紀。油絵の被写体が抜け出てきたのかと思う。
さすがはフランス。
相変わらずのお家芸は健在だった。
■追記
talismanさんのレビューが素敵!
ラストの考察に至極納得。
写真もない時代に肖像を描くということ
予備知識ほとんどなく観賞
こういうフランス映画もたまにはいいじゃないか的ノリです
感想としては
・シンプルでテーマは絞りやすい構成
・音楽がほぼなく集中力維持が大変
・目力ある女優さんの演技に惹き込まれる
・凝ったカメラワーク
色々賞をもらったというほどのインパクトは
感じないもののなかなか印象的な作品でした
18世紀のフランスで婚約の肖像画を任され
孤島にやってきた女流画家マリアンヌ
自殺した姉にもショックを受けている令嬢エロイーズに
最初は目的を悟られぬよう接しながら
少しずつ肖像画を描き上げますが肝心の本人に
出来を認めてもらえず
もう一度描き直す中でエロイーズは肖像画を描く
事を了承します
エロイーズは婚約を望んでおらず状況を少しずつ
理解しながら交流を進め距離を縮めるごとに二人は
(当時としては)禁断の愛に目覚めていきます
エロイーズがそもそも婚姻を嫌がっている理由が
それだったかは定かではありませんが
肖像画を描くという行為が相手を知りどんな人物かを
理解し一枚の絵から人物像が浮き出るよう描き上げる事で
それがきっかけで愛が芽生えてしまったわけです
マリアンヌの製作は捗りますが徐々に花嫁姿の
エロイーズが浮かんでは消えその絵の完成が
何を意味するかをマリアンヌも感じ取っていきます
そして自他ともに納得のいく肖像画が完成したところで
マリアンヌはエロイーズが嫁いで別れなければ
ならない事がつらいとつい吐露してしまいますが
エロイーズは突き放すマリアンヌに失望し
悲しみにくれますがやはり状況的にかなわぬ恋
途中出てきた有名なギリシャ神話のオルフェウスの
冥府下りになぞらえ別れ際の「振り返ってはいけない」
約束に対しマリアンヌはやはり振り返り
花嫁衣裳のエロイーズを一瞬視界に入れ
それ以降しばらく会うことはなくなります
その後マリアンヌは一度目は子供と一緒に絵画として
出会うことになりますがエロイーズの手には
自分の絵を残した本のページが記されており
もう一度オペラで会ったときには目も合わせることは
ありませんでしたがその眼には一筋の涙が伝うのでした
LGBTがどうとかといった話は一切抜きにして
素直にストレートな純愛ストーリーだったと思います
写真のない時代の肖像画というものの意味
音楽がほとんどなく集中力というか眠気が襲ってくる
部分もあるにはありますが頑張って観てみると
色々感じ取れていい作品でした
最初に思ったのは?
役者の芝居はとてもよく、お嬢さん役の俳優の目線だけで伏線をはるところ(回収も、とてもわかりやすくてよい)や表情の変化だけで語るところなど、なかなかやるなと思わせてくれる。
半面、些細なことが気にかかる。
海を渡るのに白いキャンバスを貼った状態で梱包して持っていくものなんだろうかというのがまず気になる。ロールと木枠を持って行って現地で張ったらいいじゃない。
木炭でやけに精密な下書きを描いて、その線を大切に消さないように塗り絵をしていくという必要以上に形を大事にするような描き方にテーマとの違和感を覚えつつも、ここまで薄塗りなら、こんな粗目のキャンバスじゃなく板に書いたほうが良いのでは?という疑問に・・・(もともと、板に描く設定をキャンバスに書き直してるなら辻褄があうなあ)
そもそも、貴族の肖像画がこのクォリティで許されるのか?などと考えつつみてると、なんとダメだしされて描きなおすはめに・・・
途中の状態を撮れば、発注する絵は1枚で済むからなのか?
肖像画は重要なアイテムなのでもう少し金かけてよかったんじゃないのかなあ?
などとホントに余計なことを考えてしまった。
期待したほどの濃厚なレズビアン場面もなくて個人的にはがっかりだが・・・
この作品、女性監督のセリーヌ・シアマとダブル主演のエロイーズ役のアデル・エネルがほんまもんのレズビアンカップルで付き合っているということで、大いに期待しておりました。「英雄は嘘がお好き」「不実な女と官能詩人」のノエミ・メルランの美しい裸体が惜しげもなく見られると思い、期待しておりましたが、その点では完全に裏切られて、チクビさえ見られませんでした。私と同様に邪な鑑賞動機の輩はさぞ肩透かしを喰らった感でありましょう。
しかしながら、冒頭のボートのシーン、海に落ちたカンバスをみずから飛びこんで拾うシーンはわざと濡れて暖炉の前での全裸シーンのためのもの。船に乗ったまま引き上げればいいのにね。ありがとうございました。
エロイーズ役のアデル・エネルは顔の輪郭や口元が石橋静河に似ており、二重瞼がきれいで、長いカットが多かったです。監督の強い思い入れを感じました。
素朴な祭りでの女たちの歌うアカペラの曲がエンドロールでもかかり、この作品の独特な雰囲気を感じることができました。
女中のソフィ役のルアナ・バイラミも魅力的で、3人の関係も面白かったです。とくに、ソフィの妊娠が発覚して3人が流産の手助けをするシーンが結構長く、面白かったです。浜辺で3人が草を探すシーンでは、花が枯れてはだめだとか言う会話がありまして、花に毒のある堕胎に使える植物があるのかな?タイの地方の豪族の一夫多妻を描いた映画(題名忘れた)を思い出しました。エロイーズの母親(女主人)が戻って来るまでにオロす必要があるらしく、相手はたぶんほっそりした若い下男だと思われました。ソフィはなかなかチャーミングで、堕胎を村の女性に頼んだすぐあとにそのシーンを再現したポーズをソフィとエロイーズにさせて、ひと作品描きあげるシーンも印象的でした。当時の女流画家はエロチックな絵は描いてはいけない風潮があり、テーマも男性画家に比べ極端に限られるとマリアンヌ(ノエミ・メルラン)自身がエロイーズに言う場面があったので、3人がマリアンヌの創作を応援していることがわかりました。オルフェィスとエウリデケのギリシャ神話を読むシーンは最後の二人の別れのメタファとなっており、28ページの余白にマリアンヌが描いた自画像をエロイーズが大事にしていたことがのちの絵画博覧会でのエロイーズと娘の絵にも表されています。娘の顔がなんとなく、マリアンヌに似ておりました。画家に注文をつけたのでしょう。最後の方で、別れを受け入れながらも、互いにいつ好意を感じたか聞き合う場面は二人が充分に愛を確かめあったあとだけにとてもいいシーンでした。エロイーズがマリアンヌが経験者であることに興味を示したときに、マリアンヌはこれはイケると思ったと告白するのですが、エッチだなぁと感心しました。最後はオペラの会場でマリアンヌはエロイーズを見かけますが、エロイーズがマリアンヌに気が付かないのかどうかわからないまま、ただただ泣いて終わるのが大変よろしかったです。
切ない恋愛ストーリー(女同士だけど)
賞を取ってるから、どんな映画だろうと楽しみだった。それ以上の事前情報ほ無しで鑑賞したら、主人公の女性(画家をしている)がモデルの女性とキスして愛し合ってしまった( ̄▽ ̄;)
こんな展開だと思ってなくて、私のようなおっさんが鑑賞してるのは大丈夫かなと周りの目が気になった。
ざっくり言うと、主人公(マリアンヌ)とモデルのエロイーズが恋に落ち、だが別れなければならないと言う切ない映画だった。
この映画の登場人物はかなり少ないので予算はかけて無さそうだ。主人公(マリアンヌ)と貴族の娘エロイーズ、その母、貴族の使用人ソフィの4人がメインだ。母は途中からいなくなるけれど、この4人で話が進んでいく。
恋愛と言っても、男性が好きな裸のシーンは殆ど無い。(全くない訳では無い)
主人公(マリアンヌ)を演じるノエミ・メルランの誕生日は1988年11月27日なので、30代だと思うけど、キレイだった。ちょっとカルロス・ゴーンに似てるなと思った。やっぱり、フランス人の顔立ちということなのだろう。ノエミ・メルランは脱いでいる。冒頭の濡れた衣類を乾かすため暖炉の前で暖を取るシーンと、生理になった時にベッドから起き上がるシーン。暖炉の前のシーンではほとんど影になっているから胸の形が見える位でハッキリと裸は見えない。生理の時はアンダーヘアが見えたくらい。モザイクをしないのはフランス映画って感じだ。
貴族の娘エロイーズを演じたのはアデル・エネル。1989年1月1日生まれなので、こちらも30代。これからミラノの男性とお見合い結婚することが決まっていて、恋愛経験も無いようだったからもっと若い役だと思っていた。裸になるシーンはあった。マリアンヌと一緒にベッドの上にいて寝てる時に、左胸が露出していた。あと、脇毛が生えていた。これは当時のフランスでは当たり前なのかもしれない。
あとは裸のシーンはない。
使用人のソフィ役のルアナ・バイラミは2001年3月14日うまれ。未成年であるが、映画では妊娠してしまい、堕胎している。彼女が堕胎するシーンでは、対比するように隣には赤ちゃんと小さい子供がいた。子供を堕ろす行為はソフィにとっても辛いようで、泣いていた。
なぜ、マリアンヌとエロイーズが恋に落ちたのかは私には分からなかった。エロイーズの肖像画を作る使命を与えられたマリアンヌが映画の中盤で肖像画を完成させてしまったから、あれ?これからどうするの?と思っていたら、突然エロイーズとキスして、いつの間にか愛し合っていた。もしかしたらそういう空気が出てたのかもしれないが、私は気付かなかった。
最後のシーン(マリアンヌとエロイーズが別れてから最後に再開するシーン)ではエロイーズがオーケストラの演奏を聴きながら涙を流すのだが、これは多分マリアンヌのことを思い出したからだと思う。マリアンヌが肖像画を描いていた頃にエロイーズに演奏するシーンがあって、きっと同じ音楽だと思う。だからエロイーズはマリアンヌを思い出して泣いたと解釈した。このシーンはずっとエロイーズが映るのだが、役者の実力が無いと成立しないと思った。
映画の中で、純白のドレスを着ているエロイーズがふっと消えるシーンが2度ほどあるが、それが何を意味していたかは分からなかった。
マリアンヌが屋敷から出ていくシーンは悲しいシーンだった。
以下、ストーリー
マリアンヌは学生の前でポーズを取りながら、学生に指導をしている。学生の後ろに『燃ゆる女の肖像』というタイトルの絵が飾られていることに気付く。自身の作品だ。学生に問うと奥から出てきたとのこと。
過去に遡り、マリアンヌは小型の船に乗って島の貴族の屋敷へ向かう。船での移動中に絵画道具を海に落としてしまったのでマリアンヌは海に入って取りに行く。上陸し屋敷まで行くと、マリアンヌは部屋の暖炉の前で衣類を乾かしながらタバコを窘める。
屋敷では屋敷の主(主人の妻でエロイーズの母。主人の姿は無い。)から娘のエロイーズの肖像画を描いて欲しいと依頼される。肖像画をお見合いで使用するためだ。エロイーズの肖像画を描こうとしたことは過去にあるが、エロイーズが拒否して描かせて貰えないそう。このため、マリアンヌは自身が画家であることと、エロイーズの肖像画を描こうとしていることを隠しながらエロイーズの肖像画を描くことになる。
マリアンヌはエロイーズと散歩することにする。しかしエロイーズはマリアンヌの前を歩いたりして、なかなか顔を見せてもらえない。また、マリアンヌがエロイーズに視線を送ることも、気付かれてしまいそうで危うい。
エロイーズには姉がいたが、崖から落ちて死んでいる。転落時に叫ばなかったこと、エロイーズ宛の手紙に『許して』と書いてあったので、自殺と考えられている。
マリアンヌはエロイーズの目を盗みながら、エロイーズの肖像画を書き上げるが、エロイーズの母にエロイーズに肖像画を描いていたことを打ち明けたいと言う。
マリアンヌはエロイーズに肖像画を描いていたことを打ち明け、肖像画をエロイーズに見せる。エロイーズは肖像画の出来に否定的だ。マリアンヌも納得していなかったようで、肖像画の顔のところを削除してしまう。エロイーズの母はマリアンヌに怒るが、エロイーズがモデルになることを承諾し、母は5日間の外出から帰ってきた時には肖像画を完成させているように再び依頼をする。
マリアンヌはエロイーズを描きながら?、突如エロイーズとキスをする。(正確には覚えていない)。これから母が戻ってくるまで二人は愛し合うことになる。
ある夜、集会(何の集会か分からないが、何人かの女性が集まって歌を歌う)で、火を挟んでマリアンヌとエロイーズは見つめ合う。するとエロイーズのスカートに火がついた。エロイーズは慌てる様子もなく、マリアンヌを見つめているが、他の女性がすぐ様、消化した。
一方で使用人ソフィは自身が妊娠したことをマリアンヌとエロイーズに告白する。子供をどうするか尋ねられると、エロイーズの母がいない間に堕胎すると応える。
ソフィは堕胎する時にベッドの上で寝転ぶが、同じベッドの上には、赤子と小さな子がいた。堕胎中はマリアンヌとエロイーズはその様子を見ていた。医師?が堕胎を終えたことを告げると、ソフィは涙を流した。
夜、エロイーズは堕胎中の絵を描くようにマリアンヌに提案する。暖炉の前にマットを引き、ソフィを横にしエロイーズは堕胎のポーズを取る。その姿をマリアンヌは絵に描いた。
ソフィから明朝の朝、エロイーズの母が戻ってくると聞かされたマリアンヌは最後の夜もエロイーズと過ごす。母は肖像画を見て報酬をマリアンヌに手渡す。
マリアンヌは二人と別れて屋敷を後にする。
再び、教室に場面転換する。マリアンヌは学生の絵を見る。
マリアンヌは父の名前で展覧会に作品を出品する。当時のフランスでは女性画家には例えば男性の裸体が描けないと言った制約があるため、父の名前を使用している。
展覧会にはエロイーズがモデルとなった絵が飾られている。エロイーズの傍には小さい子供が描かれている。
マリアンヌはオーケストラの会場に入ると遠くにエロイーズが会場に入ってきたことを視認するが、エロイーズは気付かなかった。(または、気付いていたが、顔を向けなかった。)オーケストラの演奏が始まると、エロイーズは涙を流した。
「燃ゆる女の肖像」に萌ゆる私
「これはただモンじゃない!」初めて予告編を観た時に感じた予感は本物でした!!
今もキーを打つ指が震える程の儚く美しい愛の物語に魅せられた
ブルターニュ地方の古城、波砕ける岩場、強風煽る草原…風景その物が既に名画でありその全てこそが2人の愛物語を彩っている
18世紀、本来なら出会い結ばれる事もないはずであり身分も違う2人が出会い、運命の元に惹かれて行く…
あくまでも静かで淡々としている過程に引き込まれその流れ全てが強く心に刺さりました
鮮烈な音楽と共に祭りでエロイーズに炎が立った時、マリアンヌの心にも炎が立つ…
同時に私自身までもが胸に何かの感情が燃え立つ覚えを感じた位だ…
冒頭のマリアンヌの表情とラストのエロイーズの涙が物語る様に
永遠に胸に秘め、閉まっておきたい愛…
この先もずっとずっと想い続けたい珠玉の一本になりました⭐︎⭐︎
女優達の演技の素晴らしさにも圧倒され
しばらく席を立てなかった〜💦
静物画、ヴィヴァルディ、オルフェ
静かに強烈な映画で全て正確に頭に刻印されました。流れる映像の1コマ、1コマ、どこを切り取っても美しい絵画になる完成度に心揺さぶられました。
紺碧の海から、静物画の世界に観客を放り込んでしまう監督の手腕が素晴らしい。台所、パン(到着後、空腹のマリアンヌが食べてたのすごく美味しそうだった)、チーズ、ワイン、銀食器、グラス、パイプ、暖炉、蝋燭、本(オルフェの話が、後にマリアンヌが描く絵と共にすごく効いていた)、楽器(チェンバロ)、花瓶に活けられた花やハーブ、刺繍、ドレスやベッドリネンといった布、鏡、椅子やベッドなどの家具、キャンバスに筆にパレット、トランプ。全部、静物画のモチーフだ。
屋敷の中に響くのはひたすら生活の音。木の床を歩く靴の音、水やワインを注ぐ音、飲む音、暖炉の薪がはぜる音、布が擦れる音、チェンバロの音色。
最初はやけに眉間の皺が深いエロイーズが、どんどん綺麗に美しくなっていった。マリアンヌは泳げる、煙草を吸う、重い荷物も持つし堕胎の経験もある。何より職業画家だ、ただ描く対象は狭められ、父親の名前で絵を描く。どこにもいつでも、北斎とその娘みたいなのが居るんだ、と思った。
見られる立場(自分の意志に関わらず結婚することが決められている)のエロイーズには拒否したり言い返す強さがあって、見る側のマリアンヌには非常な用心深さと繊細さがある。エロイーズをマリアンヌは緻密に観察し、そのマリアンヌを私達が見つめる。視線の重なりが覗き見のようで罪悪感を覚えた。
詩人でも画家でもないエロイーズは、描く対象が限られている女の画家であるマリアンヌに絵の素材を提供する。焚き火の炎をスカートに纏うことで、ソフィに堕胎の時の格好をさせることで、そしてマリアンヌを想いながら決してマリアンヌを見ない自分を見せることで。
エロイーズは、「夏」を聞いて感動し、涙を流し、口を開けて呼吸し、官能的な表情を浮かべ、最後は恍惚とした笑顔になり、視線は一切動かさない。自分は見られる側に徹する、私は妻を見てしまうオルフェにはならない、あなたを見たらあなたを失う、あなたのことを追想しながら私は生きていく、とエロイーズはマリアンヌを見ずに伝えた。
傑作、、になり損ねた作品って感じ
何だろうか?
海を利用したり祭りのシーンなどとても印象的なシーンがある
その反面ストーリーが少し弱い気がしたな
あと恋に落ちていくシーンなど心理描写が伝わってこない感じがした
両方とも根っからの同性愛者って感じではなかったので
おっかなびっくり駆け引きしながら落ちていくんじゃないの?
いきなりキスで肉体関係って感じだったのでそんな気持ちが湧いた
祭りのシーン燃ゆる女の所の音楽とかは好きだけど、、、って感じ
印象的なシーンではあるんだけどね
ただ、全体的には一昔前の貴族的な社会の生活を綺麗に映像にしてる感じもあり
良かったな
最後余計なシーン省いてもう少し何かあったら傑作だったかもね
残念な事に傑作になり損なった感じかな
でも、強く印象は残す作品でした
事前に作品の詳細を知る必要はあるかと
東京国際映画祭にて鑑賞。率直な感想としては非常に分かりづらく難しかったかなというのが率直な感想である。
予告である通り同性愛に対する心の開きを非常にアートチックにゆっくりと描かれるわけだが、事前にそのような作品と知っていないと前半の描写とかどう写るのか疑問に感じた。事前にそういう作品だと言うことは僕は認識していた為、彼女らの行動、言動、表情を深く深く見ようとしてるが、事前に知らされてないと中々分かりづらさはあるようにも思えた。
劇中に男性は殆ど出て来ず(最初の小舟、最後の肖像画の運び屋、展覧会の客程度か)女性だけでゆっくりと丁寧に心情を描くところは非常にアートチックで惹きつけられるが、まだまだこのタイプの作品には未熟であり創造が追いつかなかった。
ポプュラーではなく、非常に観客を選ぶ作品であるのは間違いないだろう。
全49件中、41~49件目を表示