劇場公開日 2020年12月4日

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燃ゆる女の肖像のレビュー・感想・評価

全170件中、141~160件目を表示

4.0写真もない時代に肖像を描くということ

2020年12月8日
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マスゾー

4.0女たちの心を解き放つ

2020年12月8日
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 ジェンダーフリーの風潮のせいか、このところ邦画でも洋画でも同性愛の作品が多く上映されているように感じる。最近では「おっさんずラブ」というテレビドラマまであった。映画では2016年に鑑賞した「アデル、ブルーは熱い色」が最も印象に残っている。その4日前に観たのが邦画の「リップヴァンウィンクルの花嫁」だ。黒木華の演技に舌を巻いた記憶がある。
 同性愛は太古の昔からあって珍しいものではない。古代ギリシアでは同性愛が当たり前だったという説があり、カエサルはバイセクシャルで、映画「テルマエ・ロマエ」で市村正親が演じたハドリアヌス帝は同性愛者という話だ。日本では在原業平は老若男女何でも来いだったようだし、江戸時代は男色が日常的だったらしい。
 いつからか、同性愛は生殖を伴わない性行為として、キリスト教によって禁止されたり、または国家によっては法律で禁止されたりした。しかし聖職者が実は少年愛者で沢山の少年が児童虐待の被害にあったという「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」みたいな映画もあったりする。
 人間の性は個性と同じように、古来から多様なのである。フェチやマニアという言葉には沢山の接頭語がつく。性的な快楽は人それぞれであり、故に相性というものがある。相性のいい相手、言い換えれば同じフェチ、同じマニアであれば性的な快楽は増大し、そうでなければマイナスになる。人が浮気したり離婚したりする理由の「性格の不一致」は主に「性の不一致」なのだ。だから少し前まで結婚式の挨拶では「昼は淑女のように、夜は娼婦のように」という言葉が使われていた。多分いまの結婚式で使うと炎上必至の言葉だが、真実を衝いている言葉であることは間違いない。

 国家という共同体の中の個人は、国家に守られている従順な羊の群れで、共同体が何かを禁止したら、それを悪いことだと思ってしまう傾向にある。精神的な自由を投げ出してしまうのだ。日本の男色や浮気を悪と定めて一夫一婦制を導入したのは明治の国家主義者である福沢諭吉たちである。ちなみに国家主義とは国家に主権があるとする考え方で、国民に主権があるとする民主主義とは正反対である。ナチスも国家主義だ。明治維新の国家主義者たちは、国の労働力や兵力を増強するため人口増加策として一夫一婦制を提唱したのであって、国民の幸福を願った訳ではない。
 さて従順な日本国民は国家主義者の横暴に従い、一夫一婦制に背く行為を悪としてしまった。同性愛についても一部のマニアックな人の特有のものとして限定的な扱いを受けるようになったのである。「LGBTは生産性がない」という発言をしたのも国家主義者の国会議員だ。浮気が不倫として咎められるようになったのは人類の歴史で言えばごく最近の話なのである。民主主義国家は個性の多様性を認めるわけで、同時に性の多様性も人権として認めなければならない。
 民主主義国家フランスには不倫という言葉はない。ミッテラン大統領の浮気や隠し子の報道があっても、それによって大統領が責められることはなく、逆に報道したマスコミの方が「プライベートに立ち入るのはよくない」と非難された。フランスの人々は性の多様性を認め、人間が物や人に飽きることも認めているのだ。
 新しいものは誰しも試したくなるが、思い切って試す人と怖気づいて我慢する人がいる。我慢する人は試す人が許せない。不自由な人は自由な人が許せないのだ。他人の浮気を非難する人の心理はそれで、つまりは不寛容で狭量な精神性である。嫉妬や羨望もある。日本ではそういう精神性が支配的だ。だから浮気した有名人が、違法行為でもないし国民に迷惑をかけている訳でもないのに謝罪を強要される。非難する人たちの精神性はほぼ国家主義のネトウヨたちと同じである。日本に民主主義は根付いていないのだ。

 本作品はフランス映画である。だから性の多様性が広く認められているという前提の上で作られていると思う。本サイトの解説によると、主人公の相手役となるエロイーズを演じたアデル・エネルは本作品の監督セリーヌ・シアマと交際しているそうだ。レズビアン監督が交際相手の女優を出演させてレズビアン映画を撮るのが普通の時代になったのは、古代の性に対する自由な精神を取り戻したようで、喜ばしい限りである。本作品の美しいレズビアンシーンを非難する人はいないだろう。
 18世紀のフランスと言えば、1789年7月14日の市民によるバスチーユ監獄の襲撃事件が有名で、そこからフランス革命がはじまった。本作品はおそらくそれよりもかなり前の話で、貴族による封建主義の支配体制が残っており、女性の権利は認められていない。女性画家は男性を描くことが出来なかったり親が決めた相手と結婚しなければならなかったりする。
 殆ど二人芝居のような映画で、互いの会話やアップで映される表情には、性衝動や人格のせめぎ合いや諦めや運命を受け入れる覚悟みたいなものが混ざりあったような、複雑な意識と感情が見て取れる。主人公の画家マリアンヌを演じたノエミ・メルランは、力強い目を存分に生かして繊細な女心を演じきった。対するエロイーズを演じたアデル・エネルは、主演映画「午後8時の訪問者」で見せた冷静さよりも、はじめて胸がときめいた性的な衝動と快楽、それに別れの予感に心が揺り動かされる感情を前面に出して、相手役としての存在感を十分に発揮した。両女優ともに見事である。
 こんな時代をこんなふうに生きた女たちがいたという実存的な表現であり、冷たい潮風や固いパンや暖炉の熱が、あたかもその場にいるように感じられた。カメラワークも音響も秀逸だ。世界を実感するためにマリアンヌは絵を描き、アデルは海に入る。歌う女たちのシーンは素晴らしい。焚き火の向こうで火のついたドレスを気にせずすくっと立つアデルが印象的だ。そして音楽。女たちの心を解き放つのは自然と恋と芸術なのだ。ヴィヴァルディの「四季」は名曲だと、あらためて思った。

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耶馬英彦

3.5叶わぬ恋

2020年12月8日
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18世紀フランスの離島を舞台に、望まない結婚を控えた貴族の娘と、彼女の肖像を描くために雇われた女性画家の、生涯一度の恋を描いたラブストーリー。脚本と監督は、思春期の少女の欲望と不安を題材にした「水の中のつぼみ」で注目されたセリーヌ・シアマ。今回も、女性監督ならではの繊細な心理描写を光らせ、昨年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した。
この映画の背景は、女性が思いどおりに生きられない時代。貴族の娘、エロイーズには結婚の選択権がなく、画家という職業を得たマリアンヌも好きに画材を選べない。そんな二人が、5日間だけ思い通りに笑い、愛し合う自由を手にする。そして、その思い出だけを糧に残りの人生を生きる。限りなくロマンチックで、限りなく切ない恋が、マリアンヌの芸術家のまなざしで切り取られていく。そんな恋物語を、ある逸話や切ないラストシーンを奏でる音色と共に物語全般を通しての演出が見事でした。

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オクやん

4.0女性の表情

2020年12月7日
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描かれる、描くという関係を隠している時

描かれる、描くという関係になってからの二人

静かな映画で時々意識が飛んでいたが、出てくる人の表情がとても良かった。
海や風景も素敵でした。

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Momoko

4.0最初に思ったのは?

2020年12月7日
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アモルフィ

2.0退屈な美

2020年12月7日
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評判良いみたいなので見てみたが、ただの退屈な作品だった。

画はきれいなのだが、ただきれいなだけ。
例えば、きれいな風景写真を見ているような感じ。
ただきれいなだけで印象に残らない。
配色もありきたりなもの。
茶とエンジを組み合わせればオシャレな感じになるよねーみたいな。
インテリア・ショップのカタログ見てるみたい。

そこには作家の意匠や主張や創作の飛躍がない。
例えば、フランシス・ベーコンの画のオレンジを見たとき、そこにあるのはただのオレンジなのだが、とてつもない美と痛打するような印象と作家の研ぎ澄まされた感性を体験する。
そうした驚きにこそ芸術を体験することの喜びがある。
この作品には、そうした驚きがない。

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かとし

2.5私的には、テンポが合わないかな

2020年12月7日
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本作品、予告編で見た時、絵にまつわるサスペンス映画なんだろうと勝手にイメージして見に来ましたが・・・・

私の勝手なイメージだったので、正直裏切られまいた・・・・

色々と見方はひとそれぞれあるでしょうが、私的には、合わない映画・・・

内容の方もあるような無いような・・・・お話が大変にゆっくり淡々と進むので、私的にはついて行くのがやっと・・・・

簡単に内容を話ば、お金持ちの娘の縁談の為に、肖像画を書く依頼を受けた画家が、対象となる女性と向かい合っているうちに、恋愛と言うのとは違い、互いを知る事による親近感を超えた想いと言うのですかね、男性同士で有れば、また表現は変わってくるのですが、女性同士なら、このような展開になるんでしょうね・・・

しかし、その感情変化などが、本作品のテンポや作り方で、私的には、その変化の過程が掴みにくいかな・・・

景色み綺麗だし、出てくる女優さんも大変に綺麗ですが、私的には、少し合わない映画だったかな・・・

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sally

2.5自分は繊細ではないし女性でもないのだが・・・

2020年12月7日
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「こんなにも繊細な作品は観たことがない」(グザヴィエ・ドラン)だそうだ。
「そうか、自分は繊細ではないし、LGBTでもないし、女性でもないのだから、理解できないのだ」と、何度も居眠りしながら観ていた。実に眠かった。
「きっと観る人が観れば、交わされた台詞やちょっとした仕草の背後に、微妙なニュアンスや秘めた情熱を感じ取るのだろう」と。
主人公の持ち込んだ2枚のカンバスが、イントロで強調され、その後の展開を暗示するなど、“芸が細かい”のは確かだ。

ところが、映画の終わり近くなって急展開し、話が怪しくなる。
二人の情熱は燃え上がるものの、実は互いのことはあまり理解し合っているわけではなかったようなのだ。
つまり、台詞や仕草には、別に深い意味は無かったということになる。
たかだか2週間くらいの間に、エロイーズが笑うようになり、「私も変わった」などと平然と言い放っているのを聞くと、「はぁ?」となってしまう。

少なくとも、肖像画の消された最初のバージョンの表情と、採用された最後のバージョンの表情は、逆であるべきではないだろうか?
まあ、最初のバージョンはクライアントのご機嫌を取るために、定型的に仕上げたのかもしれないが・・・。
映画のキモであるはずの肖像画そのものに、意味内容が感じられなかったのは残念だ。

どうも最近は、ジェンダーや人種が絡むと、ヨーロッパでの評価は“自動的に”高くなるのではないか?
「パラサイト」同様、カンヌの“ご威光で”過大評価されているような気がする。
こんな奇妙な状況が続くと、映画界にもトランプ大統領のような人間が現れても不思議ではない。
ともかく、徹底的に“女性目線”で、ほとんど男が出てこない本作品は、自分には難しすぎた。

なお、昔のブルターニュの田舎と言えば、ゴーギャンの絵にもあるように、少しエキゾチックな土地柄のはずだ。
火祭りの女達の合唱は、現地で採取した歌かは知らないが、民俗性が反映されているのかもしれない。

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Imperator

4.0絵画のような美しい映像から見える怖さ

2020年12月7日
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とにかく全てのシーンが美しく、抒情的。
波の音、暗い部屋、ろうそくの灯り、お祭りでの合唱。
18世紀のブリュターニュの孤島が舞台とのことだが、映像の美しさに圧倒される。

この時代の女性は、結婚して子供を産む道具でしかなかったのだろう。
主人公の女性も結婚はしないのかもしれないが、画家として、自分の名前で描くことはできず、父の名前で描いていたというところも驚く。
というより、女性が仕事を持って、自分の好きな人と結婚する自由を得ることができるようになったのも、まだ100年も経っていいないんじゃないか。
もっというなら、LGBTを公言できるようになったのだって、30年も経っていないと思う。

たぶん、本当に許されない愛、だったんだと思う。
その儚さと人を好きになるのにジェンダーは関係ないという燃えるような思いが、全編から痛いほど伝わってくる。

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七星 亜李

4.5情熱熱風セレナーデ

2020年12月6日
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登場人物がほぼ四人の女性

最後のシーン、裏事情知ると感慨深い

島のお屋敷シーンはあまり18世紀感がなく現代っぽかった

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たれぞう

3.5撮影や細かい絵を描く描写は良いのですが?

2020年12月6日
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もっと、わかりやすく2人の関係性を描いて欲しい。
もう少し、短くても良いと思います。

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おさむ

5.0素晴らしいエモーショナルムービー

2020年12月6日
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素晴らしい。もう『野菊の墓』(松田聖子主演)です。完全なる切ない恋愛。まあ絵描きの話くらいにしか思わず観に行ったのだが(笑)、アニエスヴァルダのような古典映画の快楽を持った現代映画。アデル、ブルー…も思い出した。

荒涼たる風景の、しかし壁の色、波の色、草木も光も絵画的な隔離された屋敷に、絵描きと嫁入り前の娘が肖像画を描くまで暮らす。その間に起こる魂の交換と原始的な恋愛のはじまり。狙いに狙ったバックショットが美しい。出会いの海辺の振り向きと、別れ間際の波打ち際の後ろ姿と。
ミニマルに攻めていって中盤ようやく音楽が加わり、ラストで一気に雪崩れ込む感情のピーク。オルフェのエピソードにもはっとさせられた。

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ONI

4.0音楽も説明も極力削ぎ落として語るモノとは。

2020年12月6日
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とにかく全てが美しい。人物も風景も絵画もそして音さえも。
場面を盛り上げようとする音楽は一切無く、だからこそキャンバスを力強くなぞる筆やゆらめく炎の音が印象的なのだろう。

とっつきにくい、わかりにくい、と感じる人もいるかもしれない。が、説明的なモノは何もなくても18世紀がどういう時代だったのかを多弁に語っている。

今ヴィヴァルディの「夏」を聴きながらラストシーンを反芻している。
エロイーズ、あなたはなんて人なんだ!

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ごーるどとまと

4.5期待したほどの濃厚なレズビアン場面もなくて個人的にはがっかりだが・・・

2020年12月6日
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知的

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カールⅢ世

2.5女優も映像も美しいが

2020年12月6日
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予備知識も全くなく予告編も見ず、映画賞とレビューの評価だけで見ました。
主役の女優二人はとても美しく、女性監督作品らしくきめ細かで全てのシーンが絵画的な美しさはありました。しかしストーリーはかなり地味で上映時間が長く感じました。
女性向けの映画なのかも。とにかく美しい映像は印象に残りましたがお勧めはしにくい。

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Yoji

4.0美しい

2020年12月5日
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静かで上品でうっとりする作品。
BGMがほぼないので、火が燃える音、足音、床がきしむ音、服が擦れる音などの
生活音が凄く心地良かった。

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I am R.

4.0切ない恋愛ストーリー(女同士だけど)

2020年12月5日
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泣ける

悲しい

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パナソニック

3.0なんか観いってる

2020年12月5日
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170本目。
観たい作品が多く公開され、選択に悩む。
で取り敢えず今日はこれかなと。
カンヌとか出てきた時点で、ハードルアップで、俺向きじゃないかなって。
実際そんな感じはあるんだけど、でもなんか観いってる。
それは多分、ほぼ女性しか出てないだけなのかも知れないけど。

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ひで

4.0視線と表情で描く究極の恋愛表現!!

2020年12月5日
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まだ限られた職業でしか、女性は社会に居場所を見出すことができなかった時代の中で、多くの女性が社会進出のきっかけとなったのが画家という職業でもあったことから、マリアンヌは18世紀のフェミニストでもあるのだ。

しかし、固定され、限られた概念の中では、まだまだその先に進むということは、未知の領域であり、人間として、女性として許される行為なのかということも判断が難しい環境だった。

時代を通してみれば、同性愛というものは、18世紀以前から存在していたものではあるのだが、芸術や歴史の中で知っていることと、自分の身に起きることでは、全く違ってくるだろう。

マリアンヌはフェミニストではあっても、少なくともエロイーズと出会うまでは、異性を愛し結婚をすることへの反発はあったものの、レズビアンではなかったように思えるし、そもそもその概念自体がマリアンヌの中には存在してなかった。

それがエロイーズと出会い、肖像画を完成させようと、表情や仕草のひとつひとつを観察するうちに、マリアンヌの中に何かが芽生えてくることが伝わってくる。その伝え方というのが、映画的でわかりやすい表現などによるものではなく、マリアンヌとエロイーズの視線や表情からなのだ。

そこには、女性同意の恋愛を描いているという表面上的なものではなく、人間が人間を愛する瞬間を絵画のように、詩のように、美しい景色をキャンバスにみたてて描いていくのである。

手が触れるかもしれない、唇が触れるかもしれないという緊張と恐怖、愛を交わす喜びが自然と口元に現れる。

細かい視線や表情だけで、どうしてここまで人を愛すること、愛の誕生の表現が可能なのかというと、勿論、今までにも女性同士の恋の芽生えを描き、自身がレズビアンでもある監督のセリーヌ・シアマや撮影のクレール・マトンの力、そして俳優達の演技力もそうなのだが、監督とエロイーズ役のアデル・エネルは、かつて実生活において、恋愛関係にあった間柄なのである。

本編でみせるマリアンヌの眼差しは、正に監督自身の眼差しでもあるのと同時に、アデルの目線も監督を見る眼差しなのである。

結果的に別々の道を歩むことになり、別れてしまった2人にとって、肖像画を描き終えることは、愛に終わりがくるという、マリアンヌとエロイーズの心情に重なるというメタファーともなっているのだ。

美しい景色と、優しい波や風の音が凄く心地よい作品でもあることから、寝不足では観ないことをおすすめしたい。視覚、聴覚的にかなり眠気を誘われる作品である。

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バフィー吉川(Buffys Movie)

4.0美しき諍い女

2020年12月5日
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おー、エロイーズは監督と好い仲(別れた後らしく)なんですね。マリアンヌは'不実な'時から好きなんですが、この人は眼力が凄いですね。メイドちゃんが何気に可愛かったです。
お祭りで皆が歌っている歌詞はなんですか?Fugere Non Possum 囲われ者…
兎に角、画面が綺麗で全部がカレンダーになるくらい凄いです。

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michi
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