「正しさを教えて」名もなき生涯 MARさんの映画レビュー(感想・評価)
正しさを教えて
第二次世界大戦時、ナチスに忠誠を誓えない農夫が、自分の信念のもと、徴兵を拒み続けたことから、自身と家族に巻き起こる出来事を描いた作品。
上映時間は3時間越え。終盤に入るまでは同じようなシーンが続くので、体感時間が3時間とも思えない長さだったけど、不思議と話にどっぷり入り込み退屈さを感じない。
素直な感想を言えば、罪のない人を殺せないという信念のもと、ナチスに決して忠誠を誓わなかった主人公は立派だなと思いつつ、村では厳しい虐めを受ける妻や、父親を想い待ち続ける子供たちのことを考えたら…少し許せない気持ちになった自分もいました。
許されることではないけど、他の村の女性たちは自分の夫が戦地に行かされているわけだし、私の立場も考えろと言う村長さんやキャリアの心配をする弁護士さん、彼らの気持ちもわかるんですよね。それでも夫を肯定し続ける奥さんが切ない。
大自然に囲まれた舞台の中、穏やかなはずの風の音や川のせせらぎ、鳥のさえずりも、全て哀しく聞こえる、そんな作品だった。
決して批判しているわけではなくて、寧ろこれほど真剣に映画に向き合えたのは初めてかなと感じた。
ちなみに本作のベストキャラクターは、徴兵時に出逢って、監獄で再び出会った男ですね。
彼が求めていたものの話を聞いて・・・主人公の素朴な日常がとても幸せなものだったんだなと。
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