「マリックを信じるか。」名もなき生涯 t2law0131さんの映画レビュー(感想・評価)
マリックを信じるか。
ともあれ、3時間は長い。2年かけて作り上げたという作品。マリックのワイドレンズを駆使した構図がオーストリーの農村を美しく描き上げる。モノローグとともにモンタージュされる風景情景の編集は、まさにマリックチームの芸風。おだやかに映像でも心象を語っていく。実話をもとにしたという珍しい題材。しかし、ここまで無抵抗に個人の正義を貫くことで、愛する家族を残して逝く決断をするというエモーションに日本の観客は共感できるのだろうか。殉教者的なのだが、宗教ではなく「主人公の信じる正義」へ殉じるのだ。「ハクソー・リッジ」(2016年 メル・ギブソン監督)では、信仰のために殺人をせず、ただ負傷者を救うだけの軍医となる人物が描かれた。そちらの方が<理解>しやすい。
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