「六月暴動」レ・ミゼラブル ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
六月暴動
ヴィクトル・ユーゴーのレ・ミゼラブルのクライマックスは、七月革命に続く六月暴動(1948年の六月蜂起とは異なります)だ。
この映画レ・ミゼラブルは、この六月暴動を現代に置き換えたストーリーなのではないかと思う。
七月革命で誕生した王政は日和見主義で、既に冷夏による不作やコレラの蔓延でパリ市民の多くは困窮しており、コレラで亡くなった貧困層寄りの指導者を弔う葬列が暴徒化したのが六月暴動だった。
映画のレ・ミゼラブルでも、子供達にとって本来は味方であるはずの白人以外のマイノリティの大人達も、自分の都合や利益を優先して行動する、ある意味日和見的な人間として描かれている。
貧困や格差は問題だと言いながら、何も変わらない現在の世界。
七月革命でも事態が改善しなかったフランスと同じではないのか。
「よく覚えておきなさい。世の中には悪い草も悪い人間もいない。ただ、育てるものが悪いだけだ」
そう、悪いのは、事態を真剣に変えようとしない人間達なのだ。
この映画の物語は、ユーゴーのレ・ミゼラブルが綴るパリの貧民地区を舞台にしただけでなく、当時の労働者や農民の階級闘争を、不正を嫌うステファンの視点から、現代の貧困や格差、差別、そして、大人達のご都合主義を見つめ、更に、こうした鬱屈した状況に対する子供達の抵抗に置き換え、昇華させた佳作だと思うのだ。
イッサは、火炎瓶を投げたのか。
自分を救ったポマード刑事(=ステファン。太陽にほえろばりのニックネームで笑ってしまった)に対して、思い止まることが出来たのか。
感情に支配されてしまっては、イッサをゴム弾で撃ったグワダと同じではないのか。
僕がイッサだったら、どうするだろうか。
衝動が勝つのか。
理性が衝動を抑えるのか。
いろいろ考えさせられる作品だった。
今晩は。
今作は面白かったですね。
”地獄の黙示録”ファイナルカットは私の居住地域では、黙殺されているので(あと、かの作は個人的に充分満足できるほど鑑賞してきたので、明日は”コロナ会議”招集がなければ、今週観たい映画②鑑賞予定です。
本日、奇跡的に会議がなく(家人の冷ややかな視線を浴びつつ、)久方振りに”都会”で観たかった映画を鑑賞し、大変満足しております。
それにしても、当方が鑑賞した映画をほぼ先に観られているのでビックリです。(地域的な時間差があることは承知していますが)
では、又。