「【中国近代化から取り残されたリゾート地、鵞鳥湖畔で起きた事。退廃的な暗いトーンの色合い、雰囲気の中、鮮やかな”赤”が印象的な中国ノワールムービーの秀作。】」鵞鳥湖の夜 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【中国近代化から取り残されたリゾート地、鵞鳥湖畔で起きた事。退廃的な暗いトーンの色合い、雰囲気の中、鮮やかな”赤”が印象的な中国ノワールムービーの秀作。】
- ほぼ全編、夜、雨のシーンである。猫目、猫耳兄弟グループと"チョウ"グループとのバイク窃盗シマ争いをきっかけに、チョウは警官を銃殺してしまい・・。-
■印象的な部分
・冒頭、雨が激しく降る夜、赤い服を着たリウ(グイ・ルンメイ:清楚な雰囲気を漂わせつつ、”水浴嬢”として生きている女性を好演。彼女の魅力的な表情、纏う雰囲気が素晴らしい)はチョウ(フー・ゴー:「チイファの手紙」でもインパクトある演技が印象的であった。)
に"おにいさん、火を貸してくれない・・"と言いながら、周囲を気にしながら近づいて行くシーン。
チョウは、妻シュージュンは何故来ないのか・・とリウに尋ねる・・。
- 一気にこの作品の退廃的、ミステリアスな世界観に連れ込まれるシーンである・・-
・鵞鳥湖畔の退廃的な雰囲気。
リゾート地であるが、白い翼広帽子を被った"水浴嬢"達が、水辺を闊歩し男を誘っている・・。
・チョウが、警察の追及を交わしつつ、鵞鳥湖付近を逃げ回る理由が、徐々に明らかになって行く過程。チョウとリウとの関係性が少しずつ深まっていく・・。
-リウは、少しずつチョウに惹かれていったのだろう・・。だが、ホアとの"柵"もあり・・。-
・鵞鳥湖付近の夜の赤を基調にした原色系の色使いが、退廃的な雰囲気を上手く助長している。そして、チョウと警官達や猫目、猫耳達との撃ち合い、殺し合いの中、迸る鮮血。取り分け、ビニール傘でチョウが、宿敵を刺し殺すシーンの描き方は白眉である。
<チョウ自身が、命懸けで妻シュージュンと幼き息子に渡そうとした、自らにかけられた三十万元の報償金を、シュージュンと二人で守るように抱え、町を歩くリウの表情。
彼女達は何処に向かって歩いて行くのであろうか・・>
■蛇足
1.鑑賞中に直ぐに気づいたのは、ビー・ガン監督の「ロングデイズ・ジャーニー」の色彩感覚に似ているなあ・・、という事である。
2.序盤、”金髪”がバイクで失踪中に猫目、猫耳達が仕掛けたワイヤーで首を切断されるシーンは、リドリー・スコット監督が、”人間の本質は悪である”と言う基本思想の基、傑作を書き続けるコーマック・マッカーシー脚本を映画化した「悪の法則」のワンシーンを瞬時に思い出した・・。
お返事ありがとうございます。
いえいえ、
どんな方が今どんな立場でそれぞれの映画を観ておられるのか、
ふとレビューを繰り出す言葉に垣間見える“人の姿”が、このサークルの楽しさでもあると思っていますから。
4連休で、きっと映画三昧でいらっしゃると想っていました、NOBU さんお疲れさまです。
NOBU さんこんにちは、
日本も鵞鳥湖に負けず劣らず渾沌の有り様ですよねー
コロナ禍に加えて混乱する五輪。
半導体の不足やらEVへのシフトやら、大変だろうなと推察致します。
ワクチンは、やっと来月末に予約が出来ました。いろいろ懸念もありますが行動範囲を広げられるプラス面を、自分としては採ることにした次第です。
ご自愛下さい。