「わたしも馴染めない派だ」パラサイト 半地下の家族 N.riverさんの映画レビュー(感想・評価)
わたしも馴染めない派だ
いつか見ねば、と思いつつ、偶然のTV放送にてようやく鑑賞。
長男が、ガーデンパーティを前に自分はここに馴染んでいるか、
と問いかけるシーンが全てを象徴しているように感じた。
出自が拭ってもとれぬニオイとなり、
しみついて逃れられぬ不条理には「共食い」を思い出し、
持つ者と持たざる者の間で起きた事件に、
昨今の無差別連続殺人事件犯人が抱く動機のようなものを重ねて鑑賞する。
本作はそこへさらに同階層同士、生存をかけたつぶし合い、足の引っ張り合いがあり
このひとひねりにきれいごとではなく、今を生きる事に追い詰められた人のリアルを感じてしまった。
格差はどの地域でも深刻なのだと思わずにおれない。
でなければ賞を取るほども、話題になるほども興味を持たれないだろうから。
面白可笑しく、やがてグロ恐ろしく悲し気な結末が突飛と思えないのは、
自身にもしみついたニオイがあると自覚するからだろう。
あの媚びた笑みと、羨ましいからこそ憎くて仕方なくなる瞬間に、ドキリとさせられる。
やけっぱちの「リスペクト」へも、確かにその通り、と頭で理解しつつ戦慄しっぱなしだった。
もちろん社長一家は一家で自分たちの人生を生きているだけで、何ら悪い事はしていない。
だからこそどうすべき、どうあるべきだったのか。
テンポよくサクっと見られて、最後にずしり、考えあぐねる良作だった。
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