劇場公開日 2020年1月10日

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「貧困には幸せはないのだろうか?」パラサイト 半地下の家族 ▼・ᴥ・▼ Leo★/Rさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5貧困には幸せはないのだろうか?

2021年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

貧困テーマにした映画でアカデミー賞受賞作品ということもあり期待して観ました。

■格差社会を分かりやすく映像化。
分かりやすく金持ちに寄生する貧乏人を描いています。
格差社会という問題を真っ向から言葉でなく映像で描いており、
圧倒的に高いエンタメ度と先が読めない展開で見入ります。

■貧乏家族4人はしっかり働いている
学歴詐称して、家族であることを隠して、前の使用人も追い出して…。
やってることは相当悪辣なんだけど、キム家の4人はきちんと働いてるんですよね。
雇い主を騙して、仕事もせずに金を取ろうとしてるわけじゃない。
家庭教師も運転手も家政婦も、きちんと期待通りにこなしてる。
つまり彼らには仕事をする能力があるわけです。
彼らにないのは、ただ学歴や信用や経歴…雇われるための資格を持たないというだけで。。。

■金持ちであるパクさん一家も良い人たち
典型的なセレブで、たぶん彼らは生まれながらにそうで、
いろいろと浮世離れしたところがあったり、天然で無神経さはあったりはするんだけど、差別意識とか、上から見下す傲慢さとか、金持ちキャラに安易に当てはめられがちな「嫌味なキャラ」ではなく基本的には「良い人」なんですよね。
これはこれで、とてもリアルでフェアな描き方だと思うのです。

■ジャージャーラーメンが美味しそう!
韓国では「チャパグリ」と呼ばれ、ジャージャー麺のインスタント「チャパゲティ」と、
もちもちした麺とピリッとした味のラーメン「ノグリ」を掛け合わせて作られる。
すんごいジャンクそうですが、具材に国産牛ステーキのような高級肉を組み合わせて、めちゃ美味しそうで、思わずマネしたくなりました♡
ここはコメディー部分になるので、8分で作れるか~~!!
・・って突っ込んだら負けw

■貧しさの匂い
この映画では半地下の匂いが染みついたお父さんがピックアップされているが
家族全員同じ匂いがすると金持ちのパク一家の息子が言って全員うろたえるシーンがありました。
どんなに私たちは『普通の人間ですよ』・・と装っていても隠し切れない匂い。
本人達は日常で慣れてしまった匂いだから気付かないんですよね。
これって私たちの環境でも起こりうる場面じゃないですか。
例えばヘビースモーカーの人を車に乗せた時に「くさっ!!」・・ってめちゃ思うんですけど本人は気づいてないんですよね。
洗濯してないんだろうな~って人の匂いとか・・
世の中には沢山、【匂いで分かるその人の環境指数】があるんですよね。
だからこそ、匂いってとても大事だと思いますね。

■面白いけど後半はしんどい・・
深刻な社会問題を軸にしつつもコメディあり、家族愛あり、緊迫感あり、グロあり、恐怖あり、後半は血とかけっこうドバドバ。。。。トイレから汚水ドバドバ。。。
観てて気持ち悪くなって色々しんどい。。
広がりすぎた貧富の差は人がまともに生きることすら阻害させてしまうのです。

■万引き家族を彷彿させる
この映画は「万引き家族」に近い印象を受けました。
「万引き家族」の家族たちも、みんな悪い人たちじゃなかったし基本的に心優しい、
いい人たちでした。あることをきっかけに破綻していく感じも似てますよね。

万引き家族では評価★4.0にしましたが、この作品は・・・最後がしんどくて・・
希望がなくて・・・見終わったあと、暗くなってしまい・・★3.5にしました。
これが現実でリアルなんだろうけど。

Leo★/R