「他人と身内用のダブルスタンダード」パラサイト 半地下の家族 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
他人と身内用のダブルスタンダード
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「衣食足って礼節を知る」の格言どおり、境遇次第で人はどこまで浅ましくなるのかの手本のような映画でした。テーマ性と構成の妙は評判どおりですね。
格言は一面、真理ではありますが清貧を尊び人としての矜持を失わない魂の先人たちもいるので一事が万事と言う訳ではありません。逆もまた真とは限りません、功なり名を遂げて富に恵まれた境遇にいる人でさえ平気で嘘をつき権力を意のままに操ろうとする世の中。国家、政治体制に関わらず程度の差はあるものの残念な輩が後を絶たないのは嘆かわしい。
新自由主義者の功罪を持ち出すまでもなく弱肉強食もまた世の習い、結果、どんな卑屈で暴力的な人間が現出しても不思議ではないだけにことは厄介です。
ただ映画の一家は、運命共同体の家族の内では支えあって健気な生き方なので身内と世間用のダブルスタンダードを有しているところが現代性なのでしょう。
映画は時代の鏡でもあります、既存の体制や価値観に異を唱えたアメリカのニューシネマの台頭を思わせる、自虐的メッセージの込められた作品ですが各国で賞賛されたと知ると、この格差社会の歪、下層階級の閉塞感は、一国の問題ではなく世界的に蔓延している疫病のようなものかもしれませんね。
ただ、評判は聞くものの所詮、病んでいる世相の写し絵、映画にしてまで観ようと言う気にはなれず、今回、テレビ放映を知り観た次第です。
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