「下には下がいる」パラサイト 半地下の家族 碓氷さんの映画レビュー(感想・評価)
下には下がいる
クリックして本文を読む
主人公達は「半地下」に住んでいる。
半地下は韓国(特にソウル)の情勢によると、地上の家より安く借りることの出来る貧困の象徴らしい。
本来は朝鮮戦争におけるシェルターのような役目を果していた場を居住区域とするのだからそれは当然であろう。
しかし物語の中盤、主人公達よりもさらに下に描かれる存在がいる。
寄生するため追い出した先住民たるかつての家政婦とその夫だ。
家政婦は追い出されるまでの間どこに住んでいたか不明であるが、夫はずっと秘匿にされてきた屋敷の地下室に住み続けてきた。
主人公達は地下へと下がる描写は幾度も描かれるが、上へと上がる描写はさほど見られない。
暗に半地下の住民が易々と上へと昇ることなど出来ないというように。
これは地下室の住民であった家政婦の夫にも重なる。
夫は最後、地上に出たものの人を殺害し、最終的には主人公達(正確には母)に殺害された。
地下に堕ちた者が光を浴びるのを許さないというかのように。
韓国の格差社会は日本より酷いものと聞く。
主人公達は父の事業の失敗により半地下の住民へと身をやつした。
堕ちるのは簡単、昇るのは難しい、そう思わされる作品であった。
コメントする