劇場公開日 2020年1月10日

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「半地下の夢」パラサイト 半地下の家族 sankouさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0半地下の夢

2020年2月29日
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鑑賞方法:映画館

ポン・ジュノ監督らしい痛烈な社会風刺とコメディのようでもシリアスドラマのようでもサスペンスのようでもある沢山の要素が詰まった傑作。
今までありそうでなかった展開、先が読めそうで読めない展開に最後まで釘付けにされた。
普通こういった詐欺を描いた作品は、いつバレるのかと観ているこちらもハラハラさせられてしまうが、この映画の登場人物キム一家に関しては、ギウは英語家庭教師として、ギジョンは美術家庭教師として、父親ギテクも洗練されたドライブテクニックを持つ運転手として、母親チュンスクも家政婦としてそれぞれに完璧に役割を果たすので、思わず感心させられてこれが詐欺であることを忘れてしまう。
ギウが家庭教師の仕事に就いたのを皮切りに、次々とキム一家があの手この手を使って金持ちのパク一家に取り入っていく姿は見事で思わず笑ってしまうほど。
そして、いかにも上流ぶって澄ましているが、旦那にしても奥さんにしても、お人好し過ぎるというか、ずれているというか、まんまとキム一家に騙されてしまうのは滑稽だった。
そして、完璧に一家に取り入ったと思ってからの予想外の展開にも驚かされた。
エンターテイメント作品としても楽しめたが、邦題にある半地下の家族という言葉がとてもこの作品を象徴していて、韓国だけじゃなく日本の社会にも当てはまる格差社会を考えさせられた。
キム一家が住む家は、まさに半地下で彼らが食卓を囲む目線よりも道路の方が少しだけ上にあり、外で酔っぱらいが立ち小便をする姿を家の中から見るシーンはとても印象的だった。
そして半地下どころか、地下の生活にどっぷりはまってしまっている人達がたくさんいるという韓国社会の闇を感じさせられた。
半地下ならば、そのまま墜ちていくのも容易いが、頑張れば地上の世界に上がる事も出来る。
そんな底辺の社会がある事を知らないかのように呑気に振る舞うパク家を筆頭とした上流階級の人達を、虚ろな目で眺めるソン・ガンホ演じるギテクの姿が忘れられない。

sankou