「臭覚の映画だ。」パラサイト 半地下の家族 アッサミーさんの映画レビュー(感想・評価)
臭覚の映画だ。
人の五感の中で、快 不快の感覚が心の深部に突き刺さるのは臭覚だろう。不快な臭覚は脳の原始的な記憶や感覚と結ばれこびり付く。この映画は臭覚を強く意識させ、その抜き差しならぬ分断線を描いた作品だと思った。トイレの汚水が吹き出し、ゴキブリ駆除の噴霧器や立ち小便の匂い、体育館の人息や体臭が立ち込める。そうした下層に暮らす生活臭が一線を超えて滲み出し、金持ちの匂いがする雇用主に襲いかかる。
物語はキム一家が追放した家政婦を、乗っ取ったパク一家に入れてしまう、豪雨の中、ドブネズミの様な身なりとなった家政婦に、自分達と同じ匂いを感じ取り、慈悲の心が疼いたのだろう。それご奈落への坂道を転げ落ちていく始点となったが、困窮者の連帯をサジェスチョンしてる様にも思えた。
アメリカ大統領選挙の民主党の候補者選びで、左派急進派のサンダース氏が快進撃なのも、社会にそびえる巨大な格差を一度チャラにしたいという庶民の切実な現れなのかもしれない。ナイフの人刺しの様に。
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