「貧困臭へのRequiem」パラサイト 半地下の家族 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
貧困臭へのRequiem
最初は、名画座的な扱いで上映されていましたが、アカデミー賞ということで、ようやく我が地方都市のシネコンでも上映。遅ればせながらの鑑賞。
社会の底辺に蠢く人々を、韓国らしいアングルで描いています。構成も素晴らしく、前半は、上流社会の人々を手玉にとり、豪邸に寄生していく詐欺師としてのコメディタッチの面白さが…。
後半は一転、彼ら以上の底辺に生きる人の悲哀を描く中で、悲惨な結末へと結びつけていました。特に、その惨劇への引き金となるのが、貧困臭というのも、人として生きるプライドを、訴えかけていたのでしょうか…⁈
同じ底辺社会を描いた、日本の『万引き家族」とは、一味も二味も違いますね。個人的に、『万引き家族』を見終わった後は、ラストシーンも含めて、日本人として、凄く感情移入もできました。
しかし、本作で描かれる韓国気質の喜怒哀楽の起伏の激しさや後味の悪いラストには、正直、あまり好感は持てませんでした。やっぱり日本人だからですかね…。
これまでのアカデミー賞も、社会問題を取り上げた作品は、多く選ばれてきました。本作も確かに格差社会風刺をテーマにしているのでしょうが、その取り上げ方や結末の惨劇が、これまでのアカデミー賞のイメージとは、少し違うと感じました。
私はアカデミー賞受賞を知らずに見ました。韓国の実情を恥も外聞もなく生身で描かれていた。きれいな終わりではないけれど、これも韓国なのだと思いました。観る人を韓国の底辺に放り込むこの映画の手法は、秀逸だと思いました。
私も万引き家族のリリーフランキーは警察に捕まり罪悪感を感じており、こうするしかなかっただよという悲哀が感じられました。しかしパラサイト一家には罪悪感が感じられないし、悪いのは私たちちじゃないとしか受け取れないような描きかたをしていることに少し嫌悪感を覚えましたね。