「色々な家族の形、みんな違ってみんな良い」パラサイト 半地下の家族 いちごさんの映画レビュー(感想・評価)
色々な家族の形、みんな違ってみんな良い
平日の真昼間の上映で満員御礼。入場まで行列を組んでのしばしの待ち時間にみんなの期待が嫌が応もなく膨らんでいくこの感じ、カメラを止めるなの時に似てるわ〜
それはともかく、ラスト近くの数十分間、血みどろの殺伐としたシーンでうわあ・・ってなるにはなるんですが、それにもかかわらずこの映画の登場人物の皆が皆、嫌味がなくて、なんか憎めないのが、この映画の最大にして不思議な魅力というのがまとめの感想です。上流階級の一家はバカがつくほどピュアでイノセント。この人達なりに子供のことで悩んだりしつつ、パパは昼間はしっかりお仕事してるし、なかなか人並みに努力して生きてる感がある。そもそもここの家族が懐疑的な人達だったらこの映画が成り立たないので功労賞ものですわ。地下室の2人は超異常な環境にありながらも溢れる夫婦愛に脱帽、ただの敵役ではない。半地下の家族、この4人も結束力だけでなく愛に溢れている。あんな底辺の生活にありながら親子愛、兄妹愛が色々なシーンで伺える。特にあれですよ、儒教の国なのかな(韓国のことよく知らないけれど)、息子のギウがあのダメおやじにずっと敬語使ってますよね。どんなに悲惨な状況でも、また、家族ぐるみで卑怯な振る舞いをすることになったとしても、この家族が憎めずしかもとことん明るく健気に見えてしまうのは、こういう基本設定が根底に流れているからだと思うのです。お国柄と言ってしまえばそれまでですが、だとしたら今の日本でこの設定でこの脚本は作れないだろうな。
ラストはギウの妄想ではあったけれど、前向きな姿に安心するとともに、あの修羅場をかいくぐって3人も生き残ったのだから、本当にまた一緒に暮らせるようになれれば良いな。もちろん、上流階級の残った3人も頑張って生きて欲しい。やっぱりどの家族も愛おしい、不思議な映画だったなあ