「スノーピアサーと続き物として観る」パラサイト 半地下の家族 侍味さんの映画レビュー(感想・評価)
スノーピアサーと続き物として観る
今作の監督のポン・ジュノ監督は、2013年に撮った「スノーピアサー」で当時の韓国の右派政権によりブラックリスト入りを食い、以後迫害を受けてきたらしい。
そのため、2015年、2016年はフィルモグラフィーに空白がある。
2017年に発表したオクジャでパルムドールを争ったものの、フランスでの上映が不確定なため、逃してしまった。
その2年後、パラサイトでようやくパルムドールを手に入れる。
その波乱の始まりとなった「スノーピアサー」とはどんな物語だったのだろうか?
韓国の国家情報院(そんな部署がある事自体が異常だとは思うが)が報告していた内容では「市場経済を否定し、抵抗運動を煽る」との事だったが、個人的には、既存概念を打ち破り、自由を手に入れる名作だったと思う。
その「突き進んだ市場経済」が生み出した格差社会での2つの家族(+1)のストーリーが今作。
ギテク家族は悪びれもなく、ガードが固そうな割に、急所では全く無謀な家族に徐々に徐々に浸透していくわけだが、染み付いた体臭を軽蔑する富裕家族の浅ましい本質に気づき、その不協和音が最後に炸裂する。
長女の死の彼女の死際の吐き台詞が象徴的だった。
物語をしっとりと時に激しく綴りながら最後はほんのりと希望に終わるのは監督の優しさなのだろう。
迫害を受けながら、この作品を仕上げた監督の精神力は素晴らしい。
2020/2/10追記
アカデミー賞、3部門、しかも作品賞取りましたね。
作品の舞台裏を考えるとしみじみします。
P.s. 北のアナウンサーのモノマネが炸裂する家政婦の役者さん、僕の好きな「焼肉ドラゴン」のお母さんだったぁ〜。この感動の再会を分かち合える方と飲みに行きたいです。大阪の焼肉屋で。