「助けて」パラサイト 半地下の家族 blueさんの映画レビュー(感想・評価)
助けて
雨の降りしきる美しい庭に張られたテントの中、地下からの「助けて」という信号に気づくダソン。
彼のバースデーパーティーで起こる惨劇。
まるで地下の住民だったあの男を救い出したかのように思えた。男はそれまで自らと妻を寛大に、あるいは愚鈍に迎え入れてくれたこの家に住む家族たちへお礼するかのように寄生生物を駆除してみせた。妻を亡き者にされた復讐もやや果たし家主への愛を叫んで死んでいく。男は本物の寄生生物だ。
男は最下層である地下での暮らしが永遠に続くことを望んでいた。現状を打破する行動も計画もなく地上での生活に憧れるでもなく冷たく汚れた地下での暮らしに幸せを感じていた。時折訪れる住人の不在時には地上へ出て妻と太陽を浴び踊ったがそれすらもその生活を謳歌しているように見えた。
そして現れる暖かい太陽の指す美しい場所に憧れる半地下の住人たち。綿密な計画と行動力を持ってあっという間に寄生したかのように思えた。しかし寄生以上の生活を夢見ていた。「この家に住むならどの部屋がいい?」
地下に住む寄生生物の幸せな日々が壊れた。
最後、半地下の人間であったキムギテクは本能から最下層の地下に生きる寄生生物となった。
半地下に暮らす息子はまたあの明るい陽の差す美しい庭で父を抱きしめるという途方もない夢を見て。
もっと色々なことを感じ取りたい。
製作者の意図と合っているかどうかは知らんが。
この映画を見た日から、私もまだ夢を見ているよう。
今の自分からはどんな匂いがするんだろうな。
おはようございます。人間って、本来は、自分と遺伝的に遠い遺伝子の相手を良い匂いと感じて、異性を選ぶ性質を持ち合わせているようです。強い子孫を残すために。でも、この映画みたいに、環境の匂いが染みついて、本来の性質が関係なくなってたら、それはそれで、人間の危機ですよね。