シチリアーノ 裏切りの美学のレビュー・感想・評価
全29件中、1~20件目を表示
これはイタリア人には面白いのだろうか?
日付と人名ばっかりが出てくる画面を見続けたら裁判が終わって、ああなんとか見終えたと安心したら何とまだ半分だった。その裁判だってどれほど緊迫するのかと思いきや、授業の邪魔をする高校生レベルのヤジ、直接対決も子どもの口げんかにもならない。これだけ面白くない映画ってことはきっと事実に忠実に作ったんだよね。だとするとイタリアはやっぱり衰退するよ。検事が爆殺されて喜ぶマフィア達、何と自分ちのテレビにツバ吐いてるし、人として劣りすぎている...フェリーニ、ヴィスコンティ、デ・シーカなど栄華を極めたイタリア映画が最近めっきり影を潜めてるのも国全体のレベルが落ちてるからなのでしょうか、これは日本にも当てはまるか...
予備知識があった方が楽しめる
鉄の掟で無言を貫くマフィアの中で、その犯罪を情報提供したブシェッタを描く物語。
実際にあったマフィア裁判を描いた作品のようですね。
マフィアの誇り、敵対組織への怒り、見殺しにした息子たちへの憐憫、家族への愛情、そしてファルコーネ判事に対する尊敬。・・・そんなブシェッタの心情を軸に物語は進みます。
中盤からの裁判シーンは緊迫感と迫力があるものでした。マフィアの罵声を浴びながらも、罪を告発する主人公の覚悟に、心打たれます。
しかし、イタリアでは有名な事件なのでしょうが、日本人の私には予備知識がありません。特に最初に描かれたマフィアの内部抗争については抽象的に感じられ、戸惑いを覚えました。
ネット等である程度事件の概要を調べてからの方が、楽しめる作品かもしれませんね。
私的評価は4にしました。
シチリアーノ…魅惑的な響きだった
ゴッドファーザー、スカーフェイス、
そしてバラキ等、往年のマフィア映画の
ファンとして、このシチリアーノの
という響きは何とも魅惑的で、
大変楽しみにしていました。
長編の力作だと思いますが、
先にあげた映画の重厚さを
残念ながら感じることはできませんでした。
実話であるからこそ、
登場人物の人生や、あるいは
爆死した検事が命を狙われようとも、
そこに至った思いなど、もう一歩
絡ませて描いてくれたなら…と
物足りなさを感じてしまったのは
私だけでしょうか^^;
対立する両者の生き様が何となく
中途半端な気がして…
それ程遠くない時の出来事で、
一昔前のマフィアと生きる時も、
気質的にも違って来ているのかもしれないわ…
と、帰路でポツンと思った次第でした。
法廷のドタバタにはちょっと笑ってしまった。判事のアレはマジでビック...
法廷のドタバタにはちょっと笑ってしまった。判事のアレはマジでビックリしましたが、、マフィア物はキライではないですが、あまり記憶に残らなかったな
事実を描いていることの価値の重さ。
マフィアといえばニューヨークのイメージだったけど、やはりオリジンであるシチリアのマフィアの抗争は仁義なかった。一族郎党の種を絶やす、って、イタリア人だって第二次大戦中にはナチスの親衛隊にひどいことされたはずなのに、サル社会のオスと同じでこういうやり方って変えようのない本能なのだろうか。単純にジェンダーを語るのも安易な話であるが、対して女性陣の価値・行動規準は常に命第一で、救いだった。
決して遠い日々ではない、今に繋がる現代史。
裏社会を裏切り、人として尊敬できる判事にマフィア人脈の罪を暴露した主人公は、生涯安穏とは程遠く、幻覚もリアルも含め苦しみからは逃れられない宿痾に絡め取られていた。ああ、億単位のお金なんて生涯動かせなくてもいいから、文字どおり枕を高くして惰眠を貪り、布団の上で死ねる普通の人生が一番かなと思った平々凡々な感想。
ともあれ豪華ロケ地、惜しみないセットと音響の臨場感。映画館で見ることをオススメします。
イタリアの法廷、怖すぎて面白いです。
予告ではあまり描かれないのですが、法廷でのやりとりが最高です。
おそらくゴッドファーザーパート2を意識したであろう喧々轟々の怒声が響くあのやりとりは今まで観たことがありませんでした。
笑っちゃうほど恐ろしい映画でした。
あのお姉ちゃんたち、最高です!
裁判が長すぎるしショボい!
「裏切りの美学」という副題、そして予告編を観た感じからシチリアのマフィアを描いたゴッドファーザー的ストーリーを期待してしまったところ、まんまと裏切られました(T_T)
話の主人公は実在したシチリアンマフィアのボス的存在で、マフィアでありながら裁判を起こし、仲間のマフィア達を次々と牢獄送りにしたという実話を元にした話です。けどはっきり言って、実話を元にしたフィクションの本作よりもフィクションの多いゴッドファーザーの方が数倍面白いです!
一応フォローすると、実際のところ作品としての質は高いです。
キャスト陣の演技力はどのキャストも高く、特に主人公を演じた俳優さんは結構存在感があってサングラスを掛けた姿は石原裕次郎を彷彿とさせられました。
映像自体も綺麗ですね。
シチリアやブラジルの観光名所を綺麗に映していたりしています。
そして、序盤はゴッドファーザーやマーティン・スコセッシのギャング映画を思わせる緊張感のある銃撃戦もあって、後半にも一度だけ驚かされる場面もありました。
なので序盤を観た感じ、期待通りのマフィア映画になるのでは?と思って熱くましたが、残念ながらその熱下がってく一方でした...。
何がダメだったかと言うと、一番は裁判の場面ですね。
ヒリヒリした抗争劇が展開されるのかと思ったら、中盤から裁判の場面が非常に多くなります。
その裁判でマフィア達を次々と告発していくのですが、その裁判がすっっごく長いです!長すぎます!!
その裁判の場面が面白いのなら良いのですが、かなりダラダラと続いてテンポもかなり悪いので非常に退屈してしまいます。
その裁判所の人々の行動が最悪でした。
恐らく、実話なので当時のシチリアの裁判の様子を有りのまま映したのかも知れませんが、正直ミカンを切ってる下りやマフィア達がやたらうるさく騒ぐのを観てると事件の深刻さが半減してしまって緊張感が全然生まれないです。
実話だから仕方ない、という意見もあるかも知れませんが、何でもかんでも再現通りにやってしまうと面白味に欠けることもあるので良くないと思います。
あと嫌いだったのが、登場人物の描写の薄さです。
正直名前が覚えられない上に(名前が長いというのもある)、主人公以外の一人一人の人物を細かく描いてるわけではないので個々に思い入れも入らない上に感動もそんなに沸かないです。
これに関しては自分の事前の勉強不足もあるのは重々承知の上ですが、マーティン・スコセッシの実録ギャング映画は主人公のナレーションを取り入れて解りやすい説明をしてくれる上に非常にテンポ良く進み、尚且つ興味深い登場人物を作らせてくれる内容にしてくれるので、観たあとにその人物のことをもっと良く調べたいという気持ちが沸いてきます。
この「シチリアーノ」にはそれが無いです。
堅苦しくシリアスな割には登場人物達を深く描いてくれないので、結構どうでも良かったです。
肝心な主人公もそんなに好きになれないです。
確かに俳優さんの演技は良かったのですが、ゴッドファーザーと比べてしまったせいか、そんなにカリスマ性が感じられなかったです。
弱音を見せた方が人間臭さは出るかも知れませんが、個人的にはマフィアのトップはマフィアらしく強くてカリスマ性のある人物の方が好きです。
また時折、主人公やその仲間が狙われるんじゃないかと匂わせるような音楽や緊張感を漂わせる場面もあったのですが、裏切りの場面はそんなに無いので結構肩透かしでした。
一応この映画、カンヌ国際映画祭にコンペディション部門に出品されたらしいので、恐らくヨーロッパやアメリカの批評家からは評価が高いかもしれないです。
ただ、自分みたいなあまり知らない一般人にはかなり難しい上にダラダラしてしまいます。
ちなみに、上映時間は2時間半とゴッドファーザーよりは短いのですが、体感時間はアイリッシュマン並みでした。
はい、相当長かったです(^_^;)
大勢のマフィア
登場人物が多いので、こんがらがらないか心配だったが杞憂であった。しかし、ちょっとわかりづらい場面もあったかな?ストーリー的にも。
にしても主人公のブシェッタ役の俳優さんは顔立ちからしてハマリ役だと思った。興味深いのは裁判シーン。何人ものマフィアが見守る中、裁判が進むなんて、まず考えられない。2時間半の若干の長さも感じさせない、濃ゆ~い内容でした。
なんか、この「解説」を読むだけで、すべてが終わっているような気がしますけど。
イタリアのマフィアの抗争を嫌ったパレルモ派の大物ブシェッタが、366人分の情報を判事ファルコーネに協力して流し、マフィアの勢力が大きく削がれました、という史実を、そのまま映画にしたものです。
記録映画みたいなものかとも思いましたが、それ以上でも、それ以下でもなく、イタリアマフィアの内幕を知れたことは収穫でした。
81歳の熟練の技
度肝を抜く法廷シーンも圧巻だが、ブシェッタの内面の描写が面白かった。
飛行機の中では置いてきた息子たちの亡霊にうなされ、らせん階段では地獄に堕ちる気配を感じ、悪夢では身内の死者たちによって自らが葬られる。
「自分のベッドで死にたい」ブシェッタは、自分の内部の「死」に怯えている。
一方、マフィア撲滅に人生を捧げたファルコーネ。ブシェッタの回想を「凶悪なマフィアを美化する伝説」と一蹴し、「死ぬときは死ぬ」と言う知性の人。内部に死など存在しないから怯えない。「死」は外部からやって来ることをどこか覚悟しているようだった。
高速道路爆破のシーンは、まさかの車内目線。まるで自分が後部座席に座っているような体験だった。死が外部からやって来ることを一瞬で理解させた。
では、16歳のブシェッタが命じられた標的の男はどうだろう。
息子を無事に結婚させた男は、いよいよ刺客が来るのを待っているようだった。月を眺める男の視線が印象的。彼は「死」が外部からやって来ることを知りつつ、内部の死神と対話しながら受け止めていたに違いない。
ドキュメンタリーではない。史実だけでは伝わらない想像力。他のマフィアものとは一線を画す繊細さがあった。映画はこうでなくっちゃね。
マルコ・ベロッキオの代表作となる傑作
マルコ・ベロッキオの新作はイタリアンマフィアの全貌を俯瞰する非常に勉強になる逸品。勉強する必要はないかもしれんが。
時は1980年代、犯罪組織コーザ・ノストラ内の勢力争いが激化し、コルレオーネ派により仲間や家族を次々と殺されたパレルモ派のブシェッタは司法取引によりリベンジを図る。
ブシェッタと敵対する組織の幹部たちが顔を合わせる裁判にゾクゾクした。実に興味深いクライマックスだった。
ブシェッタを演じたピエルフランチェスコ・ファヴィーノの名演が光る。何とも魅力的な『裏切者』を演じた。
楽しめた。
裁判がメインのギャング物。今一名前と顔が一致しなかった前半だったが、主人公の存在感はあるものの組織での立場が今一分からないまま終了。偉かったと思うが・・。全体的に実話ベースの感じばんばんで、カラオケのシーンはああそうだったんだね、という印象。イタリアの裁判は日本のとかアメリカのと違ってあんな感じなんだね。知識が増えました。
開き直り
予告ではただならぬ空気を感じた裁判シーン、開けてみたら暴露し合いのただの内輪揉めみたいだった。
邦題の裏切りの美学とは程遠いもので、ちょっとがっかりしてしまった。
そもそも、仕返しされたから暴露しましたって…。
そして、悪びれる事なく裁判中に叫ぶ妻たちの、堂々とした態度も凄い。
昔、某拘置所の面会窓口に行った事があるが、いかにも極道の妻らしき風貌の女性が、窓口カウンターに半ケツ状態で脚を組んで座り、係員と馴れ馴れしく話をしていたのを思い出した。
裏切った方も裏切られた方も周辺も開き直りとしか思えない言動多い。
裏切りの美学ってより開き直りの美学だな。
イタリア版・極道の男達
152分ものやや長い上映時間を感じる事さえなく主人公ブシェッタの深過ぎる劇的人生の変化をひたすら見続けました・・
檻の中のかつての仲間との対決と圧巻なセットの法廷シーン・・華やかな冒頭のパーティシーン・・
抗争時の殺戮場面はあれどイタリア音楽や芯のある会話劇要素をも感じられた
過去には出合った事は多分無かったマフィアサスペンスでありました
ブシェタが藤岡弘に見えて見えて(笑)
笠原さん出番です!
マフィアのドンがファミリーを警察に売るという実話であるが、およそ40年にわたる物語。さらに回想を加えると60年以上のお話。ほぼ2/3は裁判状況を描くことで進む。イタリアのこの当時の裁判が「こんなんだったの!?」というほどファンキーでデンジャラス。原題の「裏切者」(直訳)がまあ、一番わかりやすい。美学でもなんでもない。主人公は、そう言ってるが、自己正当化のためには、そう言うだろう。彼の息子たちを含め150人以上が殺戮されていくパッケージシーン。最初この数字なんだろう?というほど機械的に抹殺されていく。「ゴッドファーザー」のクライマックスの丁寧な描き方とは違ってる。イタリアテイスト?
日本の物語なら、東映が続編を重ねて10本以上のシリーズに仕立て上げたに違いない。
裏切り者はどちらだ
主人公トンマーゾ・ブシェッタの台詞に「誇りある男」というフレーズが何度も出てくる。コーザ・ノストラに入会するためには「誇りある男」でなければならない。「誇りある男」は沈黙の掟を守る。
本作品はマフィアのメッカであるシシリアに生まれたブシェッタが、マフィア同士の高層に倦んで、当局に協力してマフィアを弱体化させる話である。したがってレベルの高い話ではない。コーザ・ノストラの入会時には血を使って誓いを立てるが、それも日本の血判状に似ていてレベルの低い方法である。
人間は自分のために他人と関わる。組織と関わる。これを契約という。結婚も民法上の契約であり、離婚は契約の解消だ。組織との関わりはもっと明白に契約で、会社に入るのは労働契約、雇用契約である。国家みたいな共同体は生まれたときから関わっているから、所属しているみたいな感覚になってしまうが、成長する過程で国家も組織のひとつであり個人と国家の契約という関係性を自覚するようになる。
しかし組織の維持という観点からは、個人が契約という自覚を持つと困るのである。だから契約という言葉はなるべく使わない。国家はみんなが守るべきものであり、みんなが規範に従うべきものである。戦前の教育はその理念に集中していた。何のことはない、国家もマフィアの巨大版に過ぎないのだ。要するに欺瞞である。
ブシェッタは教育はなかったが頭の回転がよく、コーザ・ノストラの欺瞞に気づいて暴力による抗争には未来がないと悟ったようだ。何度も口にした「誇りある男」は、きれいごとが並べられたコーザ・ノストラの掟に対して、現実がまるで違っていることへの抗議の意味もあったのだろう。そして誰もがコーザ・ノストラを利用しているだけであると判れば、自分も当局を利用して自分と家族の安全を図ろうとするのは当然だ。
邦題の「シチリアーノ 裏切りの美学」は作品を理解していない人がつけたトンチンカンなタイトルだ。原題の「Il traditore」は裏切り者の意味である。当局に協力したブシェッタのことを指しているように見える。実際に法定の場面では、証言をするブシェッタに対して、かつての仲間たちから繰り返し「Il traditore!!」という罵声が浴びせられる。しかしブシェッタから見れば、裏切り者はどちらだという言い分になる。原題の「Il traditore」はブシェッタだけでなく、コーザ・ノストラに関わった全員を指していると思う。つまりコーザ・ノストラという組織は、誰もがそれを利用してのし上がるための共同幻想に過ぎなかったのだ。
この構図は、国家という共同幻想に群がる政治家や役人たちの構図とそっくりである。規模が大きいから気づかないだけだ。本作品は下り坂となったコーザ・ノストラの最後の醜態を描いている。同じように下り坂となった世界の国家が、変な悪あがきをしないことを祈るばかりである。
悪くはないが飛びぬけて良くもない
裁判シーンが一番面白かった。
「事実を基に」系っぽいが、主人公・ブシェッタの供述をベースにしているためであろうか?
真実かどうかはわからない描写が多く。
組織メンバーの殺人(特に息子を殺されたこと)を批判していたが、史実上では元々殺し屋としてのしあがった人物だから、ちとブシェッタを美化し過ぎではないかと思ったりして。
また、悪くはない作品ながら、「ゴッドファーザー」を超えるのは難しいんだな、としみじみ。
全29件中、1~20件目を表示