「【”真のシチリア人マフィア”は、何故に、判事の取り調べに応じたのか・・・。】」シチリアーノ 裏切りの美学 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”真のシチリア人マフィア”は、何故に、判事の取り調べに応じたのか・・・。】
ー1980年から始まったイタリア・シチリアで繰り返されたマフィア同士の大規模抗争を一人の男の生き様を軸に描いた作品。ー
■印象的なシーン
・ブシェッタがブラジル、サンパウロに逃亡していた間に、残された家族や仲間が犯罪組織、”コーザ・ノストラ”の反ブシェッタ派に凄惨に殺戮され、彼自身もイタリアに強制送還された後、マフィア撲滅に取り組むファルコーネ判事と対峙するシーン。
ファルコーネから煙草を勧められ、”口の空いた”煙草と確認し、紫煙を燻らすシーン。
ーブシェッタは”俺は一兵卒だ・・”と呟くが、強烈な存在感、身に纏うある種の男の色気、知性、衣装など思わず画面に引き込まれる。
それは、ファルコーネ判事も同様で、三つ揃えのスーツをビシッと着こなし、ブシェッタに一歩も引けを取っていない・・。-
◆ブシェッタが敵のマフィアだけでなく、身内からも裏切り者と罵られながらも、危険を顧みずにファルコーネ判事に”コーザ・ノストラ”の”秘密”を告白する理由。
ーファルコーネ判事との関係性や夢に出てくる殺された子供たちの姿もその一因ではあるであろう。
が、私は且つて自ら飛び込んだ”コーザ・ノストラ”の”美学”が失われている事に対しての想いが一番の理由ではないかと思う。
”美学:女、子供は殺さない・・。一般市民には手を出さない・・。”
それを如実に表現しているのが、ブシェッタが若き頃から付け狙う男が、常に自らの男の子を抱いて身を守る姿と、ブシェッタも子供を抱いた男を殺さないシーンの幾つかである。
そして、男が息子の結婚式を終えて、夜になった邸内の庭でホッとした顔で、一人椅子に座っている所にブシェッタが現れ、男の胸を打ち抜くラストシーンであろう。-
■少し、残念だったところ
・1980年から晩年のブシェッタの生き様を多数の登場人物を絡ませながら描いているため、ストーリー展開が粗く、唐突に感じるシーンが多かった事であろうか。
<真のシチリアマフィアの美学を貫いたブシェッタの姿が印象深い。
且つての仲間の秘密を漏らしてでも、自らが理想としていた”コーザ・ノストラ”の且つての姿を取り戻そうとしたのだろうか・・。
シチリアの人々の(特に美しき女性たち・・)衣装、意匠も見応えがある作品である。>
NOBUさんのレビュー、素敵!男の色気まで気がまわりませんでした。息子が結婚して自分の胸の前から離れて…の場面は変な言い方ですが美しかったです。お父さんは全て分かっていたし、そこで初めてブシェッタは撃った。涙…。