劇場公開日 2020年6月19日

  • 予告編を見る

「アルモドバルの代表作に加えられるべき逸品」ペイン・アンド・グローリー エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5アルモドバルの代表作に加えられるべき逸品

2020年6月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

現在のベスト・ディレクターの一人、ペドロ・アルモドバルの新作。2011年の『私が、生きる肌』でタッグを組んだアントニオ・バンデラスを主演に、老いた映画監督の心象を描いた。

脊椎の痛みから解放されず、仕事から離れ鬱な生活を送る。浅い眠りの中に現れる幼い頃の自分と若かった母(やはりこの役ははペネロペ・クルス!)、同性愛者であった彼が性に目覚めた鮮烈な瞬間。

バンデラスと同じ歳のせいもあるのだろうが、彼の鬱や痛みがやたら沁みる。かと言って決して落ちきることはなく、人生の最終章に向けての再生の兆しに救われた気持ちになった。

若い人にはお勧めできないが、アルモドバルの代表作に加えられるべき逸品。この作品でカンヌの主演男優賞を獲ったバンデラスにとっても宝物になったはず。

今年の外国映画のベストの一本だろう。

エロくそチキン