「ゾンビ×スターウォーズ×ジャームッシュ」デッド・ドント・ダイ つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
ゾンビ×スターウォーズ×ジャームッシュ
パトカーのランプに照らされた赤と青のパッケージは「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」のようだ。
胴着を着て日本刀を振るうティルダ・スウィントン演じるゼルダはパダワンだ。
スターウォーズは好きではないしエピソード3より後の公開作は観ていないのでこの程度しか語ることは出来ないが、スターウォーズ世界の地球で何かに執着しすぎる現代人の朽ちることのない戦いをジム・ジャームッシュ節で描いたユルユルのゾンビコメディであった。
キリスト教では人が死ぬと肉体は土に帰り魂は神の元にいくのだという。
しかし何かにとらわれ過ぎている現代人は生きながらにしてゾンビと同じではないかというわけ。
死んでも肉体が土に帰ることはなく、魂も神の元へは行かない。生者も死者も等しくアンデッドなのだ。
繰り返される曲デッド・ドント・ダイはそれを暗示する。
個人的には非常に笑えて楽しめたのだが、この作品がクソツマランとなる人の気持ちも理解できる。
まず、よくあるホラー系のまともなゾンビものではないし、映画ネタも多かった。そしてジャームッシュテンポによるユルさ遅さ盛り上がりのなさは飽きさせるには充分だったと思う。
ジム・ジャームッシュが非常に好きか、キャストが好きではないと楽しめそうもない。
ビル・マーレイが無表情で棒立ちしているだけで面白い。それが急に、堰を切ったようにキレるのが面白い。
長身のアダム・ドライバーが超小さい車に乗っているのが面白い。
何も言わずドライバーとマーレイが並んで立つだけで面白いんだ。
最後に、23世紀くらいになって「埋葬するのに何故首を切るのです?」
「21世紀の風習だろ」という会話がされるのかなと思った。