「ゆったりした展開を期待していたら、オマージュ、カメオ出演の嵐に嬉々として飲み込まれることに。」デッド・ドント・ダイ yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
ゆったりした展開を期待していたら、オマージュ、カメオ出演の嵐に嬉々として飲み込まれることに。
最初はなぜジム・ジャームッシュがゾンビ映画?と不思議に思いましたが、内容はジャームッシュ作品そのもので妙な安心感が。独特のゆったりしたリズムに、主演のビル・マーレイとアダム・ドライバーという二人の持ち味が相乗効果を醸し出していました。とはいえ結構直接的な描写もあるので、食事の直前、直後はちょっと心積もりが必要かも。
物語の本筋は、ある日突然死人が蘇って、田舎町がパニックに…、という流れなので、あまり意外性はありません。それよりも本作は、オマージュや伏線、カメオ出演のオンパレードなので、そちらを追うことに忙しくて、複雑な物語構成はむしろ鑑賞の邪魔になったかも知れません。かと思ったら、終盤になって唐突に、これまで全く予期しなかったような場面が登場します。この展開には、驚きやらあきれるやらで、思わず笑ってしまいました。この展開予期できる人、いる!?という感じで。
オリジナルポスターにも描かれているとおり、本作でゾンビに対抗する武器として日本刀が登場します。監督は「精神の鍛錬の象徴として日本刀を用いた」と語っていましたが、当の使い手は、むしろ鍛錬の二文字からはほど遠い存在のような気が…。こうしたとぼけた回答ぶりも最高。
イギー・ポップやセレーナ・ゴメスが酷い扱いの役柄を嬉々として演じている姿も良かったし、監督の分身的な役がトム・ウェイツというのも感慨深いです。
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