劇場公開日 2020年6月5日

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「"This is all gonna end badly." まず...」デッド・ドント・ダイ よしさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5"This is all gonna end badly." まず...

2020年4月1日
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"This is all gonna end badly." まずい結末になる? ロメロ流元祖ゾンビ映画 & ジャームッシュ流オフビートな笑い。世紀のムダ遣いをゆるりと堪能しよう! --- "ムダ"とも取れそうなやり取りは多いし、もっと編集でいくらでも摘めそうだけど、そうした一種の不毛さがファンからするとコレコレと言いたくなるようなクスクスと笑える独特なテンポを生み出している。やっぱり間(ま)が絶妙。それをモノすごい面子でしちゃうからより一層最高、みんな肩の力抜けて余暇モード。そう、去年から今年トップレベルに見たかったジャームッシュ組(旧友/常連)超豪華キャスト大集結な新作を遂に見た! 正直、彼の素晴らしいフィルモグラフィーにおいてベストな作品ではないけど普通に楽しめるしクセになる、ハマる人はハマりそう。主人公に当たるセンターヴィル警察のメガネ3人組はじめ適材適所で、例えば高身長なアダム・ドライバーが乗る小さなスマートカーのミスマッチさに容赦ないスターウォーズ・ネタとレン君ばりのナタさばき。そして相変わらず最高に変なティルダ・スウィントンの役名はゼルダ・ウィンストンという酷似っぷり、というかラストネームはアナグラム。そしてジャームッシュもまた自身すらメタにしてしまう一種の保険をかける反則技。たまに身内ネタすれすれなのだけど、それもまたいい味。日本語の意味合いで言ういわゆるシュール路線で、ヒップスターも肩透かし? ヤック!
"A REAL NICE PLACE" 頭を殺れ --- 台本を読んだ。 "キャラクター" なんて有って無いようなもの! 本作をオフビートと形容したけど、ローファイな感じではなく、インディーっぽさはあるものも、彼の作品にしては珍しいコテコテVFXも堪能。キャラクター自体はなんら本筋に関わらなければ印象にも残らない(←こんなヤツばっかり! ex. RZA)けどセレーナ・ゴメス演じる若者たちのロメロはじめゾンビ映画お馴染みのいかにも殺られそうな存在感や、ガソリンスタンド&雑貨店営むフロドことボビーのキャラ設定など、オタク心もくすぐってくれる。趣味がこうじて製作したように、ゾンビものというジャンルの彼らしく味付けできる部分と、何でもかんでもアップデートすれば良いというわけじゃないという部分を映画ファン&映画人として心得ているみたい。語弊を恐れずに言えばとんでもない無駄遣いだけど、それが愛しい。個人的にはビル・マーレイとアダム・ドライバーが大好きなので、冒頭からこの二人のかわいらしいやり取りに並んだ画が見られるだけで結構ひいき目に満足でもある。これはね嫌いになれないやつだ、ゾンビ映画に込められた実社会へのメタファー・アンチテーゼをそのまま盟友トム・ウェイツに意識的かつ露骨に語らせちゃう最後までメチャクチャ自由。エンドロール始まったときの置いてかれっぷりよ。オエッ!

WELCOME TO
CENTERVILLE
"A REAL NICE PLACE"
"This is all gonna end badly."
"Yuck!!" オエッ! "Wild animals? Several wild animals?"
"Kill the head." 頭を殺れ
台本を読んだ

今年有料鑑賞26本目

とぽとぽ