罪の声のレビュー・感想・評価
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未解決事件の奥にあるもの
本作は、35年前に日本中を震撼させた実際の事件をモデルにして、二人の男性が、異なる理由と異なる方法で、未解決事件の真相に迫る重厚なヒューマンサスペンスである。通常、この手の作品は、刑事、新聞記者など、事件の外側にいた人達が事件の真相を究明していくケースが多い。しかし、本作は、事件の外側にいた新聞記者と、事件の内側にいた事件関係者の親族がコンビを組んで事件に迫っていくという異色のアプローチをしている。その結果、事件を内側と外側から暴くことになり、事件の社会的背景、関わった人達の悲哀の奥底にある、人間の業にまで踏み込んだ作品になっている。
本作の主人公は、新聞記者の阿久津英士(小栗旬)と、テーラーの曽根俊也(星野源)。阿久津は昭和最大の未解決事件を追っていたが、犯行に使われたカセットテープに子供の声が録音されていたことに疑問を持つ。一方、京都でテーラーを営む曽根は、亡父の遺品から、幼い頃の自分の声が録音されていたカセットテープを発見する。二人は、このカセットテープを手掛かりにして、事件の真相に迫っていくのだが・・・。
事件関係者の証言から事件に迫るという方法を取っているので、兎に角、証言者の数が多い。証言者を芸達者の役者が演じるので、証言内容に重み、深みがあり、事件の多様性、多面性、そして、事件の奥深さが浮き彫りになってくる。また、多くの証言を元に、まるで一本の糸を手繰り寄せるように徐々にではあるが着実に事件の真相に近づいていくプロセスは、地道で膨大な作業であり、主人公達の事件究明に対する執念が感じられる。天才肌の阿久津、生真面目な曽根を、小栗旬と星野源が、らしい演技で好演している。
どんな事件にも背景があり理由がある。事件の真実に光を当てることは、事件に関わった人達の本当の想いを知ることである。そして、彼らの運命に寄り添うことである。人間の業の深さを知ることである。
学生運動への見方が変わった
罪の声 声の罪 It's a Sony!
事件の背後にある人々の苦しみ
事件はテレビや新聞でエンタメとして消費される。そして、時間が経てばみんな忘れる。
でも、その背後には巻き込まれた人々の終わらない苦しみが続いていることがあるのだ。
ミステリーという体裁で、実際の事件を元にした事件の背後を描いていく。社会はミステリー、でいいのかな?
実際のグリコ・森永事件でも、子供の声が反抗に使われている。何も知らない子供たちを巻き込み、その人生を狂わせたかもしれない。これは、フィクションだけど、本当に同じようなことがあったかもしれない。
こうした事件に対する、僕らの想像力を補完してくれる作品。どんな事件にも、人間が関わっている。
面白おかしく事件を捉えるのではなく、こうした人々の苦悩への想像力を働かせていきたい。
小栗旬や星野源をはじめ、俳優の方々の素晴らしい演技で彩られた作品ですね。
企画自体が故意犯!!
グリコ・森永事件を題材にしているようで、名前を借りているだけで内容自体は薄いです。有名事件の名前を借りて、雰囲気だけで売ろうとした商品です。新説がありそうと釣られた方は多いでしょう。企画自体が故意犯なのだと思います。中盤で「結局この事件をエンタメとして消費している事になりませんか?」と自己紹介をしていても、鑑賞が苦行だったので全く笑えませんでした。
関西弁が…
うーん。
小説ではもっとアクティブな展開だった様な印象だったが映像化にはやは...
テンポ良くあの事件が見えてくる
共闘とか反体制運動の延長としての事件
構成が上手く、登場人物をまとめる手腕も素晴らしい。
(脚本が野木さんだ! さすがです)
ずっと見たいと思っていたこれがNetflix にあって びっくりして即視聴。
本当に面白かった。
人の生きる道。人生。
何かをきっかけに狂う歯車。
「あなたはどんな風に生きて来ましたか」
その問いに対し、自分が今本当に幸せである事を噛み締めると共に、さらにその自分の幸福を自分の罪と思う苦悩。
「運が良いとか悪いとか、人は時々口にするけど
そう言う事って確かにあると あなたを見てて
そう思う」
無縁坂 の歌詞。これが最後に浮かんでくる。
ここ数年のコロナ騒動でも 運命を変えられてしまった人は少なからずいるだろう。
そこで体制批判をするのか
なんとか努力して持ち直す努力をするのか
人はそれぞれである。
自分の不遇を政治のせいにして、訴え続ける生き方や
その延長として警察や大企業に一泡吹かせたいと企てる。
それが他の人間や幼ない者の人生を狂わせる。
昭和はまだまだ、国家権力のもとに個人の幸福が踏み躙られる事も多い時代だったと言って良い。
今はもう 一国の総理であろうが
いや、総理こそが、
自分の身内や友人に少しでも有利な働きをすると
文春を始め様々な媒体がそれを追及し続け容赦がない。
そういう時代になった事が喜ばしい。
昔はスピード違反だろうが駐車違反だろうが
知り合いの警察官に言えば なんとかなったものだった。
行政機関や政治家に知り合いのいる強みというものがあった。
今 そんな事したら懲戒免職モノです。
私の知る限り、世の中は清廉潔白に向かっている。
少しでも間違うと、ネット上で総叩きにあい、そのミスはどんな事があっても消えない。
そして今では
能力さえあれば、様々な方法で金持ちになれるらしい。
親に金がなくても 能力と少しの運とそれなりの努力と
行動力と知識。
逆転が可能な時代である。
と言ったような事を見終えて思った。
深く考えさせられる内容
原作よりわかりやすく
邦画の底力を見た
罪なき犠牲者
子供に焦点を当てたことは素晴らしいアイデア
時効になった大事件の真相に迫る物語。
グリコ・森永事件をモチーフにして、その真相を暴く映画です。
想像以上に良作で驚きました。
実際に死傷者が発生しなかった為に、私的にはそれ程興味を持てなかった事件。
その事件に、脅迫声明の声を充てた子供たちの苦難を付け加えたことで、とても深みのあるストーリーとなりました。
犯人の特定と、子供たちを探す道程・・・二つのテーマが無理なく共存し、サスペンスの面白さを盛り上げます。
また、犯人像の設定も秀逸でした。元々あった犯人像に、不可解な出来事の解釈を埋め込んだ設定は、現実の答えだとしても納得がいくものでした。
小栗旬や星野源をはじめとした俳優陣も素晴らしく、見応えのある2時間22分でした。
気になったのは、30年前の事件の真相に届くのが簡単過ぎるように思えたこと。
また、邦画あるあるですが、エンディングがくどすぎますね・・・星野と母親のやり取りは不快にすら感じられたし、娘のシーンも全カットで良かったように思えました。
配役が…
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