劇場公開日 2020年10月30日

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「「貴方はどんな人生をおくられてきたのですか?」この一言に映画の全てが含まれている。」罪の声 YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「貴方はどんな人生をおくられてきたのですか?」この一言に映画の全てが含まれている。

2020年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

最近よくある「史実ぽく誤解させるようなウソ映画」ではなく、本作の「史実に忠実なフィクション映画である立ち位置」こそが、映画の真髄なのである。
派手さこそないが、鑑賞者をストーリーにのめり込ませるのに十分な厚みある大河ドラマとして成立させた原作・脚本が素晴らしい。

映画では適材適所のキャスティングが完ぺきであり、その演出も素晴らしかった。
撮影・証明・音響は無難に熟して、鑑賞しやすく
例えば、電話のシーンでは受話器を近づけるにしたがい、相手方の音を大きくしたりする等すばらしい音響演出があったり
シーンを手際よく端的に切り替えたり、逆にあえて長回しにしたりと
観る人を意識した構成力と脚本を高く評価したい。

無理やり欠点をあげれば
5歳と8歳の子役の声に伸びがないので、リハーサルをもっと行い
日を改めて、撮影したりすれば、もう少し良い演技をしたのだと思う。

また、事件に巻き込まれた人々のそれぞれの人生の対比やそこに壮絶さもあったが、
悲惨な人生を表現する為に、首つりシーンは原作がそうなっていたとしても
タイミング的に
もっと違えた表現方法を考える冪だったと思う。

この映画を観た後は社会派映画である山崎豊子さん原作「華麗なる一族」をまた観たいと思った。

YAS!
YAS!さんのコメント
2020年11月15日

取材した筈の記者は小栗さんの引退した上司

YAS!
YAS!さんのコメント
2020年11月15日

映画はタイヘン面白かったので、それを攻めるつもりは毛頭ないので、欄外(コメント欄)に書きます。

原作者は膨大な量の独自取材を行った上で、本作品を書いたそうなので、原作者なりの事件総括本・映画で良いのだが

映画で主人公の1人にまで扱った小栗さん役?である当時の読売新聞担当記者さんへの取材があった筈だが、其の内容が何も活かされていないのが、残念な気がする。

本事件では事件後に焼身自殺された本部長さんやお金を渡さなかった捜査官、職質に失敗された捜査官、犯人らしき人物を取り逃がした捜査官等多くの捜査官達のそれからの運命をも変えてしまった本事件を捜査官側との対比で描いて欲しかった。
真実は 反社会人の社会への復讐と仮定しては間違った道への誘導となる。

映画では社会と真摯に向き合った人(主人公星野さん父:亡くなったテーラー) と 反社会だった人(元警察官) と、その家族を対比させているが、
原作の方向性が 犯人と捜査員とその家族にしなければ、この事件の全体像が見えてこない と僕は思う。

YAS!