劇場公開日 2020年10月30日

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「子どもの未来を奪うことへの作り手の怒りが伝わってきます」罪の声 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0子どもの未来を奪うことへの作り手の怒りが伝わってきます

2020年10月31日
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鑑賞方法:映画館

・自分が感銘を受けた原作のどの部分をどう掬い取りどう表現したのか。
・個人的に極めて重要だと思っている、弱い立場の子ども達への眼差しはどうか。

この二点で唸らされた作品は、私の場合、無条件に満点です。

原作は文庫で500ページを超える緻密な構成の作品です。真相は本当にこうだったかもしれない、と思わせる筋立てで圧倒された記憶があります。
映画という時間的制約のある中で、最大限に原作の厚みや深味を映像化していたように感じました。
さすがにやや急ぎ足の感はあるものの、破綻をきたさずに新聞記者の取材と真相を知りたいテイラーの二元中継で、糸を手繰り寄せていく展開。
自分の知らない新聞社という世界の雰囲気や、ちょっとしたロードムービー風の交流の中で信頼関係が深まる様は、確かに人間の付き合いってこういうこともあるよな、と感じさせる説得力。

生島の娘と息子に関しては、原作より感情移入を強めるドラマ性が付加されていたようですが、過剰な感じはなく、子どもを親の自己都合優先の事情(それは決して犯罪とは限らない)に巻き込むことは子どもの未来を奪う可能性がある、ということがストレートに伝わってきました。

2000年に制定された『児童虐待の防止等に関する法律』では、児童虐待の定義が下記の4種類に分けられています。
①身体的虐待
②性的虐待
③ネグレクト(保護の怠慢・拒否)
④心理的虐待
子どもを犯罪に巻き込むのは、結果的に①や④に繋がるわけで、紛れもなく児童虐待だと思います。

【リアルで怖い夢を見たので、忘れないうちに追記】
2020.10.31

それはこの記事が現実に報道されていて、聡一郎さんや、匿名の洋服店店主S氏が、ネット上で攻撃されていること。
曰く、
・聡一郎さんの悲惨な人生については、「バチが当たっただけじゃね?」
・Sって、○○町の△△という店らしい。
犯罪で儲けた金で作った店なんだろ❗️
などと、なんの根拠もなく決め付けて、他人まで煽るような攻撃に晒されていました。
本当に怖くて目が覚めました。

夢とは関係ないのですが、もうひとつ。
事件や事故、災害などに巻き込まれて助かった方が、亡くなった方や、自分より不幸な状況にある人を知った時に、
自分だけおめおめと生きていていいんだろうか。
みたいな罪悪感を抱くことがありますが(最近では『ホテル・ムンバイ』でも感じました)、キリスト教圏なら、告解室で懺悔したりそれなりに救われそうですが、日本だとなかなかその方面のケアが難しいように感じます。そんな時に『星の子』のような新興宗教に走ってしまうのは、また別の話ですが。

グレシャムの法則
asicaさんのコメント
2021年11月3日

かなりリアルな夢ですね!
今ならあります。間違いなく。

asica
アンディぴっとさんのコメント
2020年11月10日

グレシャムさん、今晩は🌃
原作の映画化はガッカリする物もあったりしますが、コレは原作をほぼ忠実にイメージも壊さず、とてもいい映画でしたね。出演者もみんなピッタリでした。

アンディぴっと
2020年10月31日

夢の件で一言✨罪悪感を感じると言うか「生きているココって地獄と呼ばれる世界なのでは無いか?」と思った事はあります。

巫女雷男
kossyさんのコメント
2020年10月31日

グレシャムさん、ありがちな夢ですね~
スクリーン誌のジャクリーン・ビセット?
なんだか俺も持ってたような気が・・・

kossy
2020年10月31日

原作は犯人達が多く記載されていて大変だと言うのは伺っておりました。映画はわかりやすかったです

巫女雷男