「身分違いの純愛物語と言えるほど単純ではない、深く、静かな物語」あなたの名前を呼べたなら nopasanadaさんの映画レビュー(感想・評価)
身分違いの純愛物語と言えるほど単純ではない、深く、静かな物語
クリックして本文を読む
物語は日常を移すだけで静かに流れていくのですが、
その中でラトナとアシュヴィンとの間に少しずつ恋が生まれていく様が
手に取るように分かる、それがとても印象的でした。
一番の驚きは、ラトナの感情を抑え込むほどの因習の強さでした。
ラトナは自分の恋情を貫くよりも体面の方を気にします。
同僚の使用人たちに身分違いの恋愛を笑われること、
身分違いの恋愛を知られると故郷に引き戻されること。
ま、彼女にとっては彼ほどには恋していなかったのかも知れませんが。
邦題「あなたの名前を呼べたなら」に少し違和感がありました。
果たしてラトナはアシュヴィンを「Sir」(これが原題)ではなく
名前で呼びたかったのでしょうか。
ラストシーンで、久しぶりの旦那様からの電話に対して、
初めて「アシュヴィン」と名前で呼びましたが、
服飾デザイナーとして一歩を踏み出し始めたラトナの
自立の宣言であり、
使用人ではなくなったラトナの決別の宣言だと
私には思えました。
コメントする