「ホンモノをみる感動」ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒 k_keitaroさんの映画レビュー(感想・評価)
ホンモノをみる感動
脚本は色々雑な部分が多い。
ライオネルとスーザンの出会い(発見)は簡単に解決しすぎてもっとドラマチックになったような気がする。スーザンを見ても誰も驚かない件もなんかご都合感を感じる。「スーザン変装作戦」みたいなギャグにすればよかったのに。
ツララの一連もどんな奇想天外な方法で敵を倒してさらに上に戻るのかとワクワクしてたら、なんとなく上に上がってきてしまった。
さらに、悪役も殺す必要はあったのか?目の前で2人も死んでめでたしめでたしは現代のファミリー向けの作品としてはどうだろうと思う。
各々のキャラクターの成長もなんだか分かりづらく、困難を乗り越える要因がその成長に起因しないのも残念。
とはいえ、
そんな事はどうでも良くなる程の映像美!
「こんなのCGアニメと変わらないじゃん!」という人もいますが、CGでどんなに美しい朝日を見せられても『アラビアのロレンス』の陽の昇るシーンの感動を超える事はできない。
本物の砂漠から【ホンモノ】の太陽が昇ってくる。人間がどうやってもコントロールできないモノを目の当たりにする感動だからだ。
一方、本作のアニメーションも人間の完全なコントロール下にあるといえばその通りだが、その為にどんな苦労をしているか想像は容易く、それが人間技を超えた【ホンモノ】の努力に他ならない。
ライカにしてもアードマンにしても人の心を動かすのはそういう部分であると思う。
とか言いながら、
船の中のチェイスとか、氷のぶら下がりとかのシーンではしっかり手に汗握り、そんな作り手の努力をすっかり忘れてしまうのだから、完全にお手上げだ。
物語としては欠点はあるが、活劇としては傑作だった。
慇懃無礼な紳士とイノセントな野人とそれを手玉にとる美女が世界中を周る冒険をぜひシリーズ化してもらいたい。