「人誅…痛みと悼み・未来への最終決戦!」るろうに剣心 最終章 The Final しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
人誅…痛みと悼み・未来への最終決戦!
"るろうに剣心(実写版)" シリーズ第4作。
通常スクリーンで鑑賞。
原作マンガは未読、アニメ版も未見。
シリーズ10年の集大成にして、いよいよ緋村剣心の十字傷の秘密に迫る完結編二部作。新型コロナウイルスの流行に伴い当初の公開予定から延期されていましたが、ついに公開。待ち侘びていました。今尚ウイルスの危機が去ったわけではありませんが、感染対策を厳としていざ久しぶりのスクリーンへ…
姉の仇として剣心をつけ狙う最後の敵、雪代縁。姉を奪った剣心を苦しめるため、人誅と称して剣心の周囲をこれでもかと攻撃。なんて卑劣なやり方かと思いましたが、剣心に最上の苦しみを与えるために自らの全てを懸けて挑戦する姿に震撼させられると共に、新田真剣佑の熱演に魅せられました。この魂を救済しなければ誰も救われないと、物語の世界にどっぷりとのめり込み、両者の対決を固唾を呑んで見守りました。
最大級の危機に剣心は如何に立ち向かうのか。己が生み出してしまった敵とケリをつけるべく、単身本拠地へ乗り込むも群がり襲い掛かって来る敵・敵・敵。多勢に無勢で剣心絶体絶命のその時、間一髪、仲間たちが駆けつけ形勢逆転。剣心のために道を切り拓き、「行けー!」と背中を押してくれました。
仲間の想いを受け取った剣心は攫われた薫殿を救い出すために縁のもとへ向かう。胸が熱くなりました。この高揚感は「アベンジャーズ/エンドゲーム」のアッセンブルで味わった感情と同じでした。魂が震えるとはこのこと。
シリーズの代名詞である高速チャンバラアクションも最高潮へ。人間の身体能力の上限を限界突破したかのような身のこなしで炸裂する剣戟はもはや芸術品の域でした。
ダイナミックさとスタイリッシュさを両立させた斬新な殺陣演出は、日本映画のお家芸であるチャンバラをネクスト・レベルへ高めたとして、邦画史にきっと刻まれるでしょう。
剣心の痛み、縁の悼みが交錯する最終決戦は、それぞれの死力を尽くした激しい剣戟により、まるで刃に想いが宿っているような感覚に囚われました。片や相手を深い憎しみのために殺そうとする剣。片や相手を贖罪と未来のために必死に救おうとする剣。両者の死闘に思わず涙がこぼれました。
縁の魂を救済し、己の魂の呪縛からも解放された剣心。過去の痛みを背負いつつも、愛する者たちと共に未来へと進み始めたその背中は、とても穏やかなものに見えました。
ついに物語は完結を迎えましたが、最終作にして時間の針は巻き戻され、ついに頬の十字傷の秘密が明かされる始まりの物語―「The Beginning」へと続いていく…
[余談]
神木隆之介/瀬田宗次郎のサプライズ出演にびっくり。剣心との息の合ったコンビネーションで敵を蹴散らす殺陣に興奮の涙が止まりませんでした。登場は些か唐突でしたが、ファンサービスとしてこれ以上のものは無いなと思いました。
個人的に好きなキャラクター、四乃森蒼紫と巻町操の再登場も嬉しかった。特に蒼紫様は、伊勢谷友介があんなことになったのでカットが危ぶまれましたが、ノーカットで一安心。
ですが、原作ではどうか知らないですけど、出て来ても出て来なくてもどっちでもいいような扱いだったのが気に食わなかったです。前作同様、敵に「誰だお前?」って言われちゃったし、クライマックスの前に退場しちゃったし…
蒼紫様の活躍をカバーするように操ちゃんが頑張った。ずっと見たかった土屋太鳳の本格アクションに大興奮。小柄な体躯からは想像出来ないキレキレな動きで縁の子分とも死闘を繰り広げてくれ、クライマックスの大規模アクションシーンに華を添えてくれました。感無量であります。
[以降の鑑賞記録]
2021/10/11:Amazon Prime Video(購入)
2022/06/05:Blu-ray
2022/10/14:金曜ロードショー(地上波初放送)
※修正(2024/03/18)