「十字傷の謎…そして縁」るろうに剣心 最終章 The Final bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
十字傷の謎…そして縁
久しぶりの大作に、ワクワクしながら映画館に向かった。その期待に十分応えてくれる、日本映画界に足りなかった、スリル満点のアクション映画が誕生した。レビューを見ると、酷評している人も一部居るが、自分は文句なしに、誰もが楽しめるエンター・テイメント作品に仕上がっていると思った。
アニメやコミックの実写版でよくある、駄目だしの裏切り作品ではなく、本当に楽しめて、140分があっという間に過ぎていった。6月に『The Beginning』も公開されるものの、シリーズとしては、これで完結してしまうのは惜しまれる。
本作の素晴らしさは、まずは、スビート感ある殺陣にある。綿密に練られた殺陣の動きの中、ワイヤーアクションも駆使し、迫力ある戦闘シーンを、次から次へとこれでもかと繰り出してくれた。これは、CGに頼っているハリウッド・アクションとは、一線を画した魅力である。佐藤健も、真新田剣佑にしても、本当に鬼気迫るアクションを、体を張って頑張っていたと思う。まあ、剣心一人に対して、100人近い敵を叩きのめすシーンは、流石にやり過ぎと感じ、リアルさには欠けたが、それを叩きのめすシーンは、スカッとすることは間違いない!
映像という点では、『動』のアクションから、一転『静』のシーンでは、日本の四季を彩る、美しい自然を背景にした落ち着いた色彩に包まれる。それはまるで、東山魁夷の日本画を観るような静けさと寂の世界観を醸し出し、こればかりは、ハリウッドも真似できない日本の映像美であると感じた。
そして、今回のテーマ剣心の十字傷の謎を知る、雪代縁との因縁は、剣心の抜刀斎時代の過去に遡り、今まで語られてこなかった恋愛ドラマが、涙を誘う。この部分で、単なるアクション映画としてではなく、悲恋の過去に纏わるヒューマン・ドラマとしても、面白さを増している。
また、これまでの懐かしいシーンや敵役、「えッ」と思う出演者も登場し、これまでのフィナーレに相応しい内容となっている。そして、過去を断ち切った剣心の穏やかな日々を、願わずにはいられないラストシーンへと結びついた。