「5をつけることは出来ないが…」るろうに剣心 最終章 The Final 有さんの映画レビュー(感想・評価)
5をつけることは出来ないが…
原作ではまだこの場面は未読の者です。アクションは間違いなく過去1ではないでしょうか。妥協が無く、出し切ったという感じが凄かったです。
縁が本当に魅力的でした。もちろんアクションは言うまでもありません。新田さんの演技力が光り、声色やたたずまい、目つきは怖いくらいにラスボスでした。亡き姉を思って残忍なやり方で人を殺める。非情だけれどもどこか愛おしいキャラでした。あとは瓢湖役の柳さんの存在が印象に残っています。
美術的なものにもかなり凝っているなあという印象でした。場面に合わせた縁の衣装替えや、建物のつくりや小道具を用いた戦闘も見ていて楽しかったです。
ラストの戦闘シーンは人物それぞれの「人間臭さ」が出ていました。剣心が謝るところは、彼の心からの償いの気持ちがにじみ出る、切ない場面でした。縁が薫の代わりに銃弾を受けるところも縁の根っこにある優しさを感じました。誰かを守りたいという気持ちが交差する、非常にエモーショナルなラストでした。
あとは宗次郎の登場です。夢でも見ているのではないかと思うくらい嬉しいサプライズでした。最終章ににふさわしい演出でした。
いいところはもっとあるし、大好きな映画なのですが惜しいなあという部分も。
原作ではどうなのかは知りませんが、操や蒼紫が活躍した時間を弥彦や左之助に回せなかったのかなあというのが正直な気持ちです。操と蒼紫の活躍にケチつけるわけではありませんが(むしろお二人ともすごくかっこよかったし)、剣心組の団結をもっと見たかったです。原作と違う展開にするならいっそ御庭番集いらなかったのでは、とも思ってしまう。自分の弱さに悔し泣きする弥彦はあれで終わっていいのか。やはり彼にもラストで剣心たちと戦ってほしかったです。左之助も正直今回はやられっぱなしで悲しかったです。剣心の相棒なのに。
あとは張さんの最期です。今作も出るんだ!と嬉しかったし存在感もありましたが、あの展開にはあまり納得できなかったです。
色々述べてきましたが、観たことに悔いはありません。惜しいところよりも満足感が圧倒的に勝つ映画です。大好きなシリーズを映画館で見れたのは幸せな時間でした。ぜひ皆さんにも観てほしいです。