劇場公開日 2021年4月23日

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「スタイリッシュ剣戟大盛」るろうに剣心 最終章 The Final サブレさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スタイリッシュ剣戟大盛

2021年4月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

成功した漫画の実写映画としてその名をほしいままにするるろうに剣心の最終章。メインキャラクターの再現度とそつがないストーリー改変、そして何よりこれまでとは違う近代的なアクションを交えたスタイリッシュ剣戟が人気の秘訣だろう。
今回登場するのは原作最後の敵である雪代縁。ビジュアルはもちろん、鍛え上げられた肉体に狂気と憎しみに満ちたキャラクター性まで完全に再現されていた。そしてその体から繰り出されるアクションもやはりすごい。冒頭数分で暴れに暴れる縁に感嘆し、虜になった人も多いのではないだろうか。

ただ今回、ストーリーの方はなんとも評価しがたい。特に原作読者にとっては。というのは、縁と剣心の因縁を紡ぐ過去編(あるいは追憶編)がちょっと物足りないからだ。過去編があるにはあるのだが、原作ほどがっつり尺をとらず、剣心や薫たちの推測でのみ成り立っているので、なんとなく人誅に説得力がない。
また、薫はただ誘拐されるだけで、剣心の精神をへし折った例の衝撃的なシーンもない。だからなのか、映画では剣心の精神は常に前向きで終始縁を憐れんでいる。やはり、剣心の絶望と回復はあった方が締まりが出てよかったと思う。そこをやると外法を出したり剣心のドラマをやったり、非常に長い尺をとるのだろうけれど。
他にも物議を醸すストーリー改変はある。六人の同志たちをオリキャラにしたり、左之助や青紫がボロボロにやられたままだったり、人気のあのキャラと共闘させたり…。るろ剣の大ファンには不満が残るかもしれない。

だがアクション映画を観に来た人には大満足の出来だろう。冒頭の縁の大暴れに始まり、明治の街並みをふんだんに爆破・破壊する人誅、果てには雑魚キャラ大勢を刀一本で吹き飛ばす新時代剣戟まである。かっこいいチャンバラだけではなく大味なアクションまで楽しんで、満足して劇場を後にすることができるだろう。
そんな映画を望む人にはオススメ。

サブレ