「最悪の映画でした」るろうに剣心 最終章 The Final あかさんの映画レビュー(感想・評価)
最悪の映画でした
るろうに剣心の原作が大好きで、完結ということもあり足を運びました。
一言で言えば本当に最悪の映画でした。
原作へのリスペクトが全く感じられず、アクションを作りたいならオリジナルで作れと言いたいです。
キャストの方々は本当に丁寧に演じてくださっており、ビジュアルは最高でした。
漫画越しに見ていた彼らが生きているのを感じました。
ただキャラクターの扱いがあまりにも浅はかです。
瓦礫に下敷きになり突然退場する蒼紫、蒼紫様!!しか言わない操、必要でしたか?
幼児返りした謎の志々雄モドキ、唐突に現れる宗次郎。
とりあえずオールスター集結させとけ感と使い捨て感。
少なくとも縁と剣心の戦いは二人だけのものだったはず。
第三者に倒されてもいいと縁が考えるとは思いません。
ただのシスコンを拗らせただけの異常者として描かれる縁は、原作で感じた魅力が全くありませんでした。
原作の縁は薫にだけは丁寧に触れており、それが縁という人物を作る輪郭として大切な部分だったと思います。
姉に重ねているだけでしたが、縁が自分が受けた苦しみを剣心に味わわせるためにも決して薫を殺そうとはしていなかったと思います。
2時間という尺を考慮して、削らなければならない部分が多いのは理解できます。
しかし要らないシーンを足してまで、必要なシーンを削った理由がわかりません。
舞台挨拶も拝見しましたが、過去編の剣心を悪いやつだと語る監督の姿に納得してしまいました。
飛天御剣流を人の世のためにと使い、自らを削りながら新時代のために戦った彼を私欲の殺人鬼のように語らないでほしかったです。
まるで今とは違う人のように語ってましたが、剣心は元々優しい人間です。その優しい人間が心を押し殺して、すり減らしながら戦っていたのが人斬り抜刀斎です。
そんな背景も考えず、上澄みだけ掬って作られたのがこの縁に平気で斬りかかれる剣心なのだと思いました。
途中からは良く似た並行世界の話なのだと思い込み見ていましたが、
彼らの皮をかぶった別人たちによる別人の物語にしか思えません。
地味なところですが、以前は背中を気にしながら戦っていたということを零した、
小物感のある宗次郎が出たときは頭を抱えました。
実写映画化において、多少の改変があることは仕方ありませんが、
少なくともキャラクターの核の部分は変えないでほしかったです。
過去編も観に行くつもりでしたが、さすがに耐えられないため見送ります。
好きな方ももちろんいると思いますので否定はしませんが、
私はこの映画をるろうに剣心として観ることはできませんでした。