「「見えないもの」を見せる映画」あのこは貴族 Kikiさんの映画レビュー(感想・評価)
「見えないもの」を見せる映画
「クラス」は世の中に確かに存在する。コミュニティはそこで形成され、育ったコミュニティの中は居心地が良いけれど、別の階級との接点によって、優劣を生みやすいもの。
そうした「見えないもの」を、ごく自然に嫌味なく、それぞれのキャラクターの美しさを起点に、丁寧に表現されていた役者さんたちに脱帽です。とても静かでゆったりと時が流れる映画なのに、あっという間だし、目を離せませんでした。
物語としては、生まれた場は場として、それでも個として成長し、輝こうとするとき、ともすれば対立構造で描かれがちな「女同士」を「女同志」として成立させていたところが美しかったし、希望を感じました。
水原さんの「どこで生まれたって、最高な日もあれば悲しい日もあるよ。でも、その日あったことを喋れる人がいるだけで十分じゃない?案外そういう人に出会えることって少ないから」「(門脇さんの世界も)うちの田舎とそんなに変わらないね」というセリフ、こんな家初めてじゃない?と聞かれた門脇さんが答える「ここにあるのは、全てみきさんのものだから」この3つのセリフに全てが集約されると感じました。
(3/12追記)
小説を読んでみました。
美紀と華子が初めて引き合わされる女性3人のシーンや結婚式、離婚、一年後のシーンなど、物語の中でキーとなる部分があまり入っていなかったんだー!と驚きました。時間の都合などもあったかもしれないけれど、もしこのエッセンスが組み込まれていたら、女性たちの友情や華子の孤独感、幸一郎の人格が形成された理由、華子の解放が、違って見えたかもしれません。映画は映画として良かったです!
華子のあのセリフすごいですよね。一瞬、どういう事?意味分からん?と思いましたが、あっ、でも何か分かる気もするって思いました。
f^_^;
全てのシーンがその絶妙なセンスで描かれていて、自分の知らない世界だけど、すごく共感出来るな〜と思わせてくれた、そで監督のセンスがすごいです。
次回作をすごく期待しちゃいますね。^ ^