「役割を全うする素晴らしい人生!」あのこは貴族 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
役割を全うする素晴らしい人生!
この映画で登場する人物たちの階層は、それぞれ違うのですが、誰が偉いとか偉くないとかという古い価値観を払拭するテーマに、共感しました。つまりどんな生き方であろうと、全てが尊く光り輝いているということなのでしょう。もっと根源的に言えば、貧しく生まれたり、金持ちに生まれたりするのも、全て生まれる前から相談しあって生まれてきて、それぞれが嫉妬したり、尊敬したりしてそれぞれの役割を全うしていくのだと思います。門脇は貴族の階層に生まれていますが、貴族という言葉は死語なので、単なる小金持ちです。富山県から上京した水原は貧乏のために大学を断念します。高良は議員の家のレールを歩きます。この3者のに生き方の絡み合いが、なんと穏やかで清々しいのでしょうか。最終的には、女性たちは自分軸で生きることを模索し、高良は議員をまっとうして行きます。それぞれが、自分に与えられたこの世の役割に気づき、前を向いて歩き出すのです。そのことだけで、胸が熱くなるようなストーリー展開に感動します。この映画の中では、結婚という概念は古い価値観として描かれているようです。じんわりと感動が押し寄せてくるところが素敵な映画です。高良の雨男ぶりや、門脇と水原がオレンジのプリーツスカートを履いている演出には、不思議な暗示を感じる作品です。
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