フリーソロのレビュー・感想・評価
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つながりをなくしたことで生まれた繋がりの話
この作品を観ようとする人はどんな人なんだろう、とふと思った。怖いものが好き?じゃあホラーとかも好きなのかな、とか。
監督が言ってるように最悪の可能性をつねに想像させられた。彼の生い立ちを聞いた時には、周りに嫌気がさして独りを選ぶありがちなパターンかと思ったが、彼の周りには仲間がいて、帰るべきパートナーがいる。彼にとっては、フリーで登ることで得られる生の実感が全てで、そこに向かうことが彼にとっては自分らしくいられる唯一の手段なんだと感じた。周りは繋ぎとめたいがそれが彼の思考に影響を与えて、身体の動きを悪くするのを知っているから、言葉選びも慎重にならざるを得ない。
今の世の中、とりわけSNS界隈でありがちな相手の気持ちを煽るような言葉、そこから生まれる駆け引き⬅︎もちろん男女間の駆け引きも含まれる。は自ずとなくなりシンプルな気持ちのやり取りが生まれる。これは、今の時代に限らず見習わなければならないと感じる。
なぜなら、アレックスは文字通り岩山を登っているが僕らも見えない岩山を登っているから。それを冷やかしたり、石を投げたり、笑ったりしてしまったことで、精神的な滑落からリアルな死に繋がることもざらにあるからだ。
そんなことをこの作品から学んだ。
求道者を取り巻くひとびとの葛藤も見どころのひとつ
アレックス・オノルドは、フリーソロの若き第一人者。
フリーソロとは、安全装置を使用せずに、自分の手と足だけで岩壁を登るクライミング・スタイルのこと。
命綱もない。落ちれば、確実に死ぬ。
アレックスは、永年目標にしていたカリフォルニア州ヨセミテ国立公園の絶壁エル・キャピタンにトライすることを決意する・・・
というところから始まる映画で、フリーソロの求道者アレックスの行動を丁寧にキャメラがとらえていきます。
フリーソロに至るまでは、随伴者とともに安全装備をつけて予行演習をしていく。
随伴者もフリーソロの第一人者、トミー・コールドウェルというひと。
ルートの各場所にはナンバリングと名前がつけられており、小さな窪みや出っ張り、それぞれの距離を確認して、どのような動きであれば攻略できるかを確認し、訓練する。
当然だ。
フリーソロでは、ひとつの動作の誤りは即、死を意味しているからだ。
そんなアレックスにも彼女がいる。
サンニ・マッカンドレスという女性で、アレックスと知り合ってから、クライミングをはじめたという。
個人的に、この映画でもっとも興味深いのが、彼女を捉えていることで、彼女の存在そのものが、アレックスのフリーソロに影響を及ぼすかもしれない。
サンニにすれば、愛するひとを喪いたくない、という想いは当然あるが、アレックスのフリーソロへの情熱を邪魔することはしたくない。
フリーソロを失ったアレックスは、もうそれはアレックスではない、と知っているから。
この葛藤。
これが映画に撮られている。
サンニには、死も含めて、それがアレックスだと受け容れているのだろう。
アレックスのフリーソロに影響を及ぼすものにはもうひとつあり、それは映画を撮っているクルーそのもの。
安全装置もなく、自分の手と足だけで登るフリーソロでは、技術もそうだが、精神を通常に保つことだが、やはり他者に見られることで、メンタルに影響を及ぼしてしまう。
撮る側の葛藤も描かれている。
終盤のエル・キャピタンのフリーソロは、本当にスゴイ。
息をのむとはこのこと。
くりかえすが、本当にスゴイ。
ドキュメンタリーを映画館で見る価値あり!
嘘みたいな映像
緊迫感がすごい!
ロープや安全装置を一切使わずに山や絶壁を登る「フリーソロ」すごいですね!
死と隣り合わせの緊迫感だらけのドキュメンタリー
世界的に知られるクライマー、アレックス・オノルドに密着していんですが、いつかこの人絶対に滑落して死んでしまうんだろうなあ、と感じながら見ていました。
巨岩エル・キャピタンって高さ900メートルで東京タワー3個分近く!の高さの岩を素手で何も使わず登るって、、凄すぎて、見ていて何で落ちないんだろう?重力ってどうなってるんだろう?というくらいすごい。
実際、同じような有名なクライマーはかなり亡くなっていますし、滑落するクライマーのシーンが時々出てきて恐ろしさを感じながら最後の20分間は釘付けで見ていました。
頼むから生き続けてくれ
怖えええええぇぇぇぇぇぇよ!!!!!
「いつ死ぬかわからないのは誰でも同じ。」
登ることで生を感じているアレックス、を、観て生を感じている自分。
ホラー映画を観て恐怖やスリルを頭に叩き込み楽しむ感覚と似ているのだろうか。いやそんなことはない、そんなもんじゃないんだろうね。失礼しました。
観ているだけで指先がジンジンと痛む。
クライミングの映像はほんの少し見たことはあったけど、フリーソロでこんな巨大な断崖を登る姿はおそらく初めて見た。
特に映画館の大きなスクリーンだと、まるで自分もそこにいるような感覚になって緊張感が半端じゃない。
仲間や家族や恋人の心情を思うと胸がズキズキと痛む。
何の前触れもなく永遠に会えなくなるかもしれない。
そんな想いを常に抱えながら彼と接するのは容易なことではない。
めちゃくちゃ他人の私ですら「心配だからやめてくれ」と思ってしまうというのに。
でもそんなのアレックスにとっては所詮他人のエゴなんだろうな。
勝手なこと言ってごめんね。どうぞご自由に。でも気を付けてね。そんなの言うまでもないけれど。
あなたが死んでも代わりを見つけるなんて、人間そんなに単純じゃないんだから。
やらずにはいられないってどんな気持ちなんだ。
不意に命を落とす可能性は誰にでもある。
だからこそ普通は危険から身を引いて近付かないようにするものでしょう。
一瞬のミスで死んでしまう可能性が非常に濃いところに積極的に突っ込んでいくって、そうしないといられないって、一体どんな気持ちなんだ。
フリーソロの挑戦までにロープ有りで練習する姿が印象的だった。
そうしてルートを確認、確保しないと無理なことだと、冷静に考えれば分かる。そりゃそうだ。
ちょっと恥ずかしいくらい無知すぎて、その辺の崖をいきなりホイホイ登ってるのかと思ってしまっていた。
ロープ有りでも危険にしか見えないし、どう登っているのかわからない。
さらに大きな機材を抱えて撮影しているカメラマンなんて本当凄まじいと思う。
とてもしんどいけれど、こういう人がいてこういう発信をしてくれることで、我々常人は見て疑似体験なんかもして楽しめる。
エンターテイメントとしても成り立っている。
劇中にいくつか流れた、クライマー達の死の知らせ。
もしいつかアレックス・オノルドの訃報が流れてきた時、私は結構なダメージを負ってしまうと思う。どんな気持ちで受け止めれば良いのか。
お願いだから、もう少し生きてね。
究極の映像体験は一見の価値あり
1㎜先に文字通り「死」が待っている世界。そんな尋常ならざる状況を疑似体験させてくれる、ありがたく拝んで観るべき貴重な作品。
単なるドキュメンタリーの枠に収まらず、音楽による盛り上げ方も的確で、エンターテイメントとしても飽きさせず一本の映画として良く出来ている。
無謀とも言える主人公含むフリーソロクライマーたちの挑戦を必要以上に美化したり持ち上げるでもなく、事実を盛り込みながらの淡々とした語り口は好感が持てる。彼らを最も近くで見守り共感し支援しているはずの撮影スタッフが、登頂中における最大の難所すなわち見せ場にきたところで思わず見ていられないと目を背けてしまう様子はとてもリアルだ。背景となる自然の美しさは言うまでもなく、常に清々しく画面が彩られ、極限の緊張感を煽りも癒しもしてくれる。
どれだけ大金をかけ、脚本を練り、名優を揃えて最新のCGを駆使したとしても敵いようがないだろう。今後も容易には超えられないレベルの傑作エンターテイメントではないかと思う。
これこそ映画館で観るべき映画であり、もっと上映館が増えてより巨大なスクリーンで鑑賞できるようになることを願わずにはいられない。
息をするのを忘れるくらい
久々のドキュメンタリー映画です。
考えると4年前の「アリのままでいたい」以来です。この映画はカマキリが主役です。カマキリが大好きな私は交尾しながらバリバリ顔を食べられてしまう雄カマキリに思わず落涙!
まじサークルオブライフかよ!
窓口で「アリのままでいたい」を一枚と言ったら、窓口のお姉さんは変な事を言った。15分後に始まるのに1時間後の時間で良いですか?
ん?なに?
「アリスのままで」と間違えてた!
確かに似たタイトルにも程がある!
アナ雪、こすりすぎ!
さて本作だがフリーソロ、一人で命綱なしで
900メートルの岸壁を登る話だ。岸壁に母はいません。いわばそれだけ。
但しCGは使っていません。観ている方は心臓を直接触られている気分になります。もしかして、その瞬間を観ることになるのか?
頼むよ!何回も心が叫びました。
頻繁にインサートされるクライマーの死。
私が登れるマックスはジャングルジム。
やめて!また心が叫びます。
とにかくラスト20分は凄いです。
そして気付きました。とてつもなく知的な
スポーツなんだなと!
高所恐怖症じゃない方は是非劇場で!
惜しい!
趣味でボルダリングをやってるので、前から楽しみにしていた映画。
長期に渡って密着していて、とてもよく撮れてるんですが、クライマックスというべき、フリーソロのシーンが短い!
ぶっちゃけ、本編の8割クライミングシーンでもいいくらいなのに…
撮影自体の難しさとか、本人の負担にならないように、とか色々事情はあるとは思うんですが…
ただ、この挑戦をカメラに収めた、ということ自体が素晴らしい!
見て後悔はしないと思います。
手に汗握る
ミスタースポック
アレックス・ホノルドさんに敬意を表してスコアは高め。
【稀有なクライマーが恋人の涙、フリーソロクライミングシーンをカメラに撮られる緊張感などを乗越え、自然体で1000Mのビッグ・ウォールに臨む姿が神々しい。】
ー ヨセミテの花崗岩の一枚巨岩「エル・キャピタン」ー
・この、1000Mの屹立する巨岩にフリーソロで臨んだ人がいたとは知らなかった。
(「エル・キャピタン」は過去”岳人”を読み耽っていたので偶々知っていた)
・この超人、アレックス・オノルドの思考、言動が常人離れしている。医者曰く、”余程の興奮がないと脳の一部が機能しない・・・・”
・彼がフリーソロに臨むまでの過程が実に丁寧に描かれる。補助ロープを付けて難所を越える練習を何度も行う。怪我もする。恋人との会話も我々は見聞きする。撮影スタッフとの遣り取りも露わに描かれる。超人は第六感も大切にする。
・矢張り圧巻なのは、フリーソロで「エル・キャピタン」を一気に駆け上がっていく彼の姿である。
・地上のカメラマンが据え付けカメラの脇で目を覆い、”こんな仕事は二度と受けない”と呟く中、練習で難度も墜落した箇所もアレックスは次々と乗り越えていく。
この各シーンは本当に凄すぎる。
・クラックに身を入れクロールしながら、指半分の突起を頼りに振り子トラバースしながら、空手キックで壁に圧をかけながら、着々と頂上に向かうアレックスの姿は観ていて身震いがする。
・アレックスが自然と一体になった時が続き、彼は頂上に到達する。満面の笑顔だが涙はない。歓喜するスタッフ、恋人。が、彼は意外と冷静だ。
・信じ難き、物凄すぎるビッグ・クライミングを堪能させていただきました。
<撮影部隊の頑張りと撮影テクニックもこの傑作ドキュメンタリーを支えていることは、観れば分かる。>
<エンドロールで平山ユージの名前が出た時は、感慨深かったなあ・・。>
<2019年9月7日 映画館にて鑑賞>
とにかく凄くて感動した
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