「にぎった光は希望へ」わたしは光をにぎっている masaki_taさんの映画レビュー(感想・評価)
にぎった光は希望へ
そこで、ありがとうを言わないの⁈
というほどのコミュニケーション下手な主人公が
祖母の教え「まずは目の前の出来ることから」始めて見つけた居場所が、再開発で再び去ることになる切ない現実。
昔の話ではなく、現代の今も誰かの居場所が、簡単に消え去っていっているんだ。
消えゆく銭湯、ミニシアターに想いを馳せる。
生き残る道はないのだろうか。
自分は光をにぎっている
いまもいまとてにぎっている
而(しか)もをりをりは考へる
此の掌(てのひら)をあけてみたら
からっぽではあるまいか
からっぽであったらどうしよう
けれど自分はにぎっている
いよいよしっかり握るのだ
あんな烈しい暴風(あらし)の中で
掴んだひかりだ
はなすものか
どんなことがあっても
おゝ石になれ、拳
此の生きのくるしみ
くるしければくるしいほど
自分は光をにぎりしめる
山村暮鳥「自分は光をにぎつている」
「山村暮鳥詩集」所収
カネコアヤノさん「光の中へ」を聞くラスト
形あるものが消えても
掌に握った光は消えないと信じていいのだと
最後は、観る者に希望を任されたように、静かな淡々とした世界から、明るい気持ちで劇場を後にした。
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