「くっさー(岡八郎風に)。さすがに映画では車内を糞まみれには出来なかった様だが、西加奈子的世界を巧まず表現していて好感が持てる。」さくら もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
くっさー(岡八郎風に)。さすがに映画では車内を糞まみれには出来なかった様だが、西加奈子的世界を巧まず表現していて好感が持てる。
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(原作既読…といっても大分昔なのでディテール忘れてたけど)①演出はスムーズで悪くない。②小松菜奈は西加奈子的ヒロイン(この映画の場合、立ち位置としては彼女でしょう)を大好演。『糸』に続いて若さに似合わず力のあるところを見せた。③吉沢亮も優等生の脆さを良く表現して顔だけでない役者としての実力を垣間見させる。④北村匠海も、語り手であるため(優等生の兄とエキセントリックな妹に挟まれてることもあり)ニュートラル且つ傍観者に成らざるを得ない次男役を変に作らない自然な演技と一見無表情に見える中での細かい表情表現で『君の膵臓を食べたい』より俳優として成長していることを伺わせる。⑤この若手3人を支える両親役として、寺島しのぶは正に大阪のお母ちゃんを存在感たっぷりに演じ、永瀬正敏は文句なしに上手い。⑥西加奈子の小説に必ずといってもよいくらいに出てくる変な人として、今回は「フェラーリ」さんが登場するが、もうひとつ中途半端な描写で物足りないのが残念。⑦その代わりカオルの卒業式での美貴への恋情の演説(告白と言うレベルじゃないでしょう)や加藤雅也演じるゲイバーのママに西加奈子らしさを感じた。⑧現実の生活・人生をデフォルメしたりlarger-than-life的に小説とすることで生きることの多幸感を描く(突飛な話だけど何か生きる希望をもらえるよね、みたいな)のが西加奈子ワールドだと私は捉えているが、そこを映画として上手く伝えられていると思う。⑨『円卓』のコッコちゃんも捨てがたいが、西加奈子原作の映画化ではいちばん成功していると思う。
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