「『ディヴット・カッパーフィールド』を読んでから観ましょう。」どん底作家の人生に幸あれ! もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
『ディヴット・カッパーフィールド』を読んでから観ましょう。
①イギリスの国民的作家ディケンズの代表作であり、英語圏の人なら生涯に一度は読んだことがある筈の『ディヴット・カッパーフィールド(以後DCと呼称)』(世界十大小説の一つとのこと)。読んだ人は楽しめるのだろうと思う。しかし、読書好きと自分で言いながら恥ずかしながらまだ読んだことが無いのです。②従って、最初はDCが自分のこれまでの人生を振り返って語るという形式を取っているのに馴染めず(後で『DC』はディケンズの自伝的要素が強い小説と知って納得)、19世紀イギリスの話なのに白人・インド人・黒人・アジア系のキャストが入り乱れているのに違和感を覚えつつ観ておりました。退屈では無かったし、ご贔屓ティルダ・スウィントンを見ているだけで飽きなかったし。③そのうち物語世界に慣れてくると違和感は無くなったし、こんな風に色んな人種の役者に各キャラクターを演じさせるのはボーダーレスが進む現代の映画らしいし、その一種猥雑は感じは逆に原作に通じているのかも知れないとも思えた。④膨大な長さの原作(文庫本で5冊文)を2時間の映画にするのでダイジェスト版みたいになるのは仕方ないとして、過去に様々に映画化されているので、英語圏の人は今回はどういう脚色でどういう切り口でどういう新味で描いているのかを楽しむのでしょう。ただ、元ネタを知らない人間でも楽しく観れるというのが映画のグローバルスタンダードとするなら、その点では1個の映画としては片手落ちではあるだろう。⑤キャストではティルダ・スウィントン以外ではアグネス役のロザリンド・エリーザーがなかなか魅力的。また、イギリス英語はやはり格調高くて耳に心地好いですなぁ。