劇場公開日 2021年1月22日

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「やや惜しい点もあるが、今週(22日~)の週ではお勧め。」どん底作家の人生に幸あれ! yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5やや惜しい点もあるが、今週(22日~)の週ではお勧め。

2021年1月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年14本目(合計81本目)。

さて、こちらの映画。
イギリスの作家、ディケンズの自伝的小説ともいわれる「デイヴィッド・コパフィールド」から。もとの小説が非常に長く、それを映画館でやるとするととんでもない量になるので、かなりの部分がカットされています。そのカットされすぎという部分がやはりわかりにくいとは言えます。

 この手の「元ネタあり」の表現方法としては、映画以外にも色々あり、一長一短あるところです。ただ、作者(ディケンズ)も「この作品が一番好き」と言っているこの小説はとにかく長く(自伝的小説、という性質のため)、いたるところカットせざるをえなくなってしまい、それが「紙芝居的」という批判になってしまっているのでしょうね。その点はとはいえ、仕方ないでしょうね。このコロナ状況で、まさかインターミッションありで6時間ですーっていう映画を流しても、じゃ人来るの??となっちゃういそうですからね…。
「その観点で、完全に映画という媒体に変えて適切な時間帯に収める」には、本質的な部分でないところをカットするしかないですが、それはだいたい相場は決まっています。実際、映画を見ていただくとわかりますが、それぞれの「章(Chapter)」ごとに、この小説が最も伝えたかったものをメインにし、それ以外は大幅カットされています(そのため、紙芝居的、という指摘も同時にできてしまっているが、それはもう、前編後編で分けるとかしないと、本質的な解決はもう無理じゃないかなと思います)。

 ただ、いざ小説で原作を読みたくなったら読めるだけのものは今はありますし、そこからさらに発展して文学作品「それ自体」にも興味を持っていただけたら、と思っています。

 減点は下記の0.3のみです(七捨八入ルールの適用による)。

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 (減点0.1) 小説を映画化するといってもすぐに難しくなるのではなく、その小説の規模次第です。今回は作者ディケンズの自伝的小説といえるこの作品が選ばれているため、映画化するにあたり作品のどこを削るかで結構作品の内容は変わってしまうという問題点を抱えています。今回取られた、いわゆる「一番いいところ取り紙芝居方式」は確かにわかりやすいしいいのでしょうが、それ以上に良いアイデアがあればそれを使うべきでしょう。つまり換言すれば、必ず「一番いいところ取り紙芝居方式」で作って微調整をしたからといってよい映画には「必ずしも」なるとは限りません(だいたいは、なりますが)。
盲目的に「この類型なら一番いいところ取り紙芝居方式」だということになると、それもそれで映画の表現が固定化されることになりかねず(特に今回のように古典小説をテーマにしたもの)、そこは「手法の安易な選び方」という観点で警告的に0.1点減点としました。

 (減点0.2) お金が払えなくなると、「債務者監獄」というところにつれていかれるのですが、ここがどこなのかすら説明がないという…。普通に考えれば、日本でもある「罰金刑の作業での納品」に該当しうる(15万円はらえない場合、1日1500円で100日となるので100日作業すれば罰金を収めたのと同じになる)ものです。ただ、明らかに趣旨が違うことと「債務者が返済できないから監獄に入って何を反省するの?(換言の反対解釈で言えば、反省したら債務って弁済しなくてもいいってこと?)」というのがまったく不明であり、ここはちゃんと説明をいれておかないとまずいかな、と思います(ちなみに、現在では一般的な国に「債務者監獄」という語はないそうです)。
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yukispica