「チア太極拳も見たかった!」イップ・マン 完結 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
チア太極拳も見たかった!
サンフランシスコに渡ったイップ・マン。息子チンの留学先を探すために中華総会を訪れるがブルース・リーが詠春拳を西洋人に教えてることを諫められ、紹介状の件はあっさり断られる。一方、ブルースの弟子でもある海兵隊のハートマン二等軍曹は中国武術を軍の教育科目に取り入れてもらおうとするもバートン一等軍曹と対立することに・・・
妻も亡くなり、自らもガンの宣告を受け、人生の最後をアメリカでの人種偏見と立ち向かい、有終の美を飾ろうとするイップ・マン。中華総会会長でもある太極拳師範のワンとも戦うこととなるが、決着はつかず、「勝ち負けは重要なのか?」と中国武術の崇高さや全ての流派を尊重するイップ・マンの心意気がうかがえる言葉。移民の国アメリカにおいて、アジア人への偏見を無くすことが重要なのだとも説く。
1964年ということで、乗合バスも有色人種専用のものだったと思われる映像。海兵隊員にも黒人が多かったし、かなり人種差別についても訴えてくるものがあった。チアリーディングの娘ルオナンもまたアメリカは移民の国だとはっきり主張していたことも印象に残ります。そして、この頃からモンスターペアレンツが存在していたことも・・・でもベッキーの父親アンドリュー・ウォルターズはそれほどでもなかったことがわかる。
ブルース・リーを演ずるチャン・クォックワンも前作から引き続き、ソックリさんぶりを爆発。決めポーズひとつひとつがとにかく映画のシーンを思い出させてくれるし、試合でもあの奇声を発していたのも笑えるところだ。また、祭りの会場では意外と強いおばちゃん拳法が際立っていた(名前わからず)。
ドニー・イェンの見どころは中華テーブルから始まり、ワン、中秋節のコリン、軍教練場でのバートンとの対決。ガンに冒されている哀愁も感じられるし、相手の攻撃もかなり受けているという痛々しさ。この技が全てブルース・リーに受け継がれていくのかと思うと感慨深い。
そんなイップ・マンの最後の映画。ラストに流れる過去作品のアーカイブにはタイソンやサモ・ハン、その他いっぱい直接対決した人物も映し出され、涙なしでは見られないエンディングでした。1972年、79歳で・・・ということは、64年にはすでに70歳を超えていたんですね!そして翌年にはブルース・リーが・・・と、また怪鳥音が聞きたくなってきた。